■業績動向
1. 2021年12月期の業績概要
RS Technologies (TYO:3445)の2021年12月期の連結業績は、売上高で前期比35.4%増の34,620百万円、営業利益で同51.8%増の6,874百万円、経常利益で同68.1%増の8,832百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同17.0%増の3,303百万円となり、売上高、営業利益、経常利益で過去最高を更新し、2021年8月に修正発表した会社計画に対しても売上高・各利益ともに上回って着地した。
半導体市場の拡大を追い風に、売上高はウェーハ再生事業が前期比10.9%増、プライムウェーハ事業が同68.8%増、半導体関連装置・部材事業が同34.7%増といずれも好調に推移した。
特に、プライムウェーハ事業については2020年10月に稼働を開始した徳州工場での生産拡大により大幅増収となった。
利益面では、減価償却費が前期比1,267百万円増加したほか、研究開発費も同374百万円増加したが増収効果や稼働率上昇等により吸収し、ウェーハ再生事業で704百万円の増益、プライムウェーハ事業で1,497百万円、半導体関連装置・部材等事業で171百万円の増益となった。
なお、営業外で補助金収入が前期の839百万円から1,836百万円に増加しているが、これはプライムウェーハ事業における工場移転費用(北京工場から徳州工場へ)のほか、徳州工場の立ち上げ費用(従業員採用費、インフラ費用)や研究開発費の増加が主因となっている。
研究開発費については8インチウェーハの認定を受けるための試作費用等も含まれている。
会社計画よりも営業外収支が拡大しているのは、補助金収入を保守的に見積もっていたことによる。
また、特別損失として株式報酬費用1,404百万円を計上した。
これはGRITEKの株式上場準備に伴って、BGRSの有するGRITEK株式の一部をGRITEKの社員持株会に譲渡(2021年2月)した際の1株当たり価格と公正価値との差額分を株式報酬費用として計上したものになる。
なお、本件によるキャッシュアウトはなく、純資産への影響もない(特別損失の計上で利益剰余金の減少要因となるが、資本剰余金の増加で相殺)。
主要会社別の業績で見ると、同社単体では売上高で前期比13.4%増の13,082百万円、営業利益で同35.5%増の2,855百万円と好調に推移した。
旺盛な顧客需要に対応すべく12インチ再生ウェーハの月産能力を前年末比2万枚増の28万枚に増強したほか、生産性が向上したことも収益拡大要因となった。
台湾子会社は売上高で前期比24.6%増の6,036百万円、営業利益で同11.7%増の1,593百万円となった。
12インチ再生ウェーハの月産能力を前年末比2万枚増の18万枚に増強したことが増収増益要因となった。
ただ、減価償却費の増加を主因に利益率は若干低下した。
中国子会社については、売上高で前期比68.0%増の14,758百万円、営業利益で同244.8%増の2,500百万円と急拡大し、2018年12月期に事業を開始して以降、最高業績を更新した。
売上高は新工場の稼働や8インチプライムウェーハの顧客認定が進んだことに加え、6インチウェーハやインゴット・消耗部材等の需要が第4四半期にかけて大きく伸長したことが増収要因となった。
6インチウェーハの月産能力は15万枚だが、第4四半期は旺盛な需要に対応すべく、8インチの製造ラインも使って生産量を20万枚まで引き上げた。
四半期ベースの業績推移を見ると、第2四半期以降、新工場の稼働率上昇とともに収益も右肩上がりに上昇している。
なお、第4四半期の売上高が4,903百万円と前四半期比で22.1%増となったのに対して、営業利益は1,017百万円、同1.9%増と伸び悩んだ格好となった。
これは補助金に関連する費用について第4四半期に一括計上する会計処理方法となっているためで、実態ベースでは営業利益も前年同四半期比で20%以上伸びたものと見られる。
また、8インチプライムウェーハの製品認定状況は、2021年末時点で70%強(品目ベース)とやや遅延している。
コロナ禍の影響で顧客とのミーティング機会が十分に取れなかったためだが、2022年12月期第2四半期までにはすべての品目で認定が取れる見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
1. 2021年12月期の業績概要
RS Technologies (TYO:3445)の2021年12月期の連結業績は、売上高で前期比35.4%増の34,620百万円、営業利益で同51.8%増の6,874百万円、経常利益で同68.1%増の8,832百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同17.0%増の3,303百万円となり、売上高、営業利益、経常利益で過去最高を更新し、2021年8月に修正発表した会社計画に対しても売上高・各利益ともに上回って着地した。
半導体市場の拡大を追い風に、売上高はウェーハ再生事業が前期比10.9%増、プライムウェーハ事業が同68.8%増、半導体関連装置・部材事業が同34.7%増といずれも好調に推移した。
特に、プライムウェーハ事業については2020年10月に稼働を開始した徳州工場での生産拡大により大幅増収となった。
利益面では、減価償却費が前期比1,267百万円増加したほか、研究開発費も同374百万円増加したが増収効果や稼働率上昇等により吸収し、ウェーハ再生事業で704百万円の増益、プライムウェーハ事業で1,497百万円、半導体関連装置・部材等事業で171百万円の増益となった。
なお、営業外で補助金収入が前期の839百万円から1,836百万円に増加しているが、これはプライムウェーハ事業における工場移転費用(北京工場から徳州工場へ)のほか、徳州工場の立ち上げ費用(従業員採用費、インフラ費用)や研究開発費の増加が主因となっている。
研究開発費については8インチウェーハの認定を受けるための試作費用等も含まれている。
会社計画よりも営業外収支が拡大しているのは、補助金収入を保守的に見積もっていたことによる。
また、特別損失として株式報酬費用1,404百万円を計上した。
これはGRITEKの株式上場準備に伴って、BGRSの有するGRITEK株式の一部をGRITEKの社員持株会に譲渡(2021年2月)した際の1株当たり価格と公正価値との差額分を株式報酬費用として計上したものになる。
なお、本件によるキャッシュアウトはなく、純資産への影響もない(特別損失の計上で利益剰余金の減少要因となるが、資本剰余金の増加で相殺)。
主要会社別の業績で見ると、同社単体では売上高で前期比13.4%増の13,082百万円、営業利益で同35.5%増の2,855百万円と好調に推移した。
旺盛な顧客需要に対応すべく12インチ再生ウェーハの月産能力を前年末比2万枚増の28万枚に増強したほか、生産性が向上したことも収益拡大要因となった。
台湾子会社は売上高で前期比24.6%増の6,036百万円、営業利益で同11.7%増の1,593百万円となった。
12インチ再生ウェーハの月産能力を前年末比2万枚増の18万枚に増強したことが増収増益要因となった。
ただ、減価償却費の増加を主因に利益率は若干低下した。
中国子会社については、売上高で前期比68.0%増の14,758百万円、営業利益で同244.8%増の2,500百万円と急拡大し、2018年12月期に事業を開始して以降、最高業績を更新した。
売上高は新工場の稼働や8インチプライムウェーハの顧客認定が進んだことに加え、6インチウェーハやインゴット・消耗部材等の需要が第4四半期にかけて大きく伸長したことが増収要因となった。
6インチウェーハの月産能力は15万枚だが、第4四半期は旺盛な需要に対応すべく、8インチの製造ラインも使って生産量を20万枚まで引き上げた。
四半期ベースの業績推移を見ると、第2四半期以降、新工場の稼働率上昇とともに収益も右肩上がりに上昇している。
なお、第4四半期の売上高が4,903百万円と前四半期比で22.1%増となったのに対して、営業利益は1,017百万円、同1.9%増と伸び悩んだ格好となった。
これは補助金に関連する費用について第4四半期に一括計上する会計処理方法となっているためで、実態ベースでは営業利益も前年同四半期比で20%以上伸びたものと見られる。
また、8インチプライムウェーハの製品認定状況は、2021年末時点で70%強(品目ベース)とやや遅延している。
コロナ禍の影響で顧客とのミーティング機会が十分に取れなかったためだが、2022年12月期第2四半期までにはすべての品目で認定が取れる見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)