[モスクワ 10日 ロイター] - ロシアによるウクライナ侵攻を受け、ロシア選手が2024年パリ五輪に参加できない可能性が高まる中、五輪出場に向けて練習に取り組んでいる同国の陸上選手らはもどかしさを感じている。
約1年前に始まったウクライナ侵攻以降、ロシアと隣国ベラルーシの選手は国際大会からほぼ除外されている。
国際オリンピック委員会(IOC)は、両国の選手がパリ五輪に中立の立場で参加できるよう検討しているとの意向を示したが、これを受けて、北欧諸国の五輪委員会などは7日にIOCに書簡を送り、ウクライナ侵攻を続ける両国の選手の国際大会出場に反対する姿勢を改めて表明。ウクライナは、ロシアやベラルーシの選手がパリ五輪に出場した場合、大会をボイコットすると警告するなど、IOCに対する圧力が高まっている。
2015年世界選手権の男子110メートル障害で優勝し、五輪にも2回出場したことのあるロシアのセルゲイ・シュベンコフは、同国の五輪参加の可能性に関するニュースは読まないようにしているとコメント。「アスリートとして、私は自分の人生の全てを陸上にささげ、常に自分のやるべき仕事をやってきた。しかし今、『あなたはいい人間だが、必要ない』と言われている」と苦しい胸の内を明かした。
また、東京五輪の陸上女子走り高跳びで金メダルを獲得したロシアのマリア・ラシツケネは、五輪連覇ができない可能性についてどう思うかとの質問に「心理的につらいので、とにかく練習し、競い、そしてジャンプを続けて、気持ちをしっかり保つようにしている」と答えた。
ウクライナ侵攻に反対するロシア選手は、難民として五輪に参加できるようにするとの提案も浮上している。しかし、五輪で4つのメダルを獲得し、現在はロシア陸連の副会長を務める元陸上選手のイリーナ・プリワロワ氏はロイターに対し、「(プーチン)大統領の決定を支持しない選手やロシア国民は、国を代表するべきではない。(ウクライナでの特別軍事作戦を)支持しない人たちは、すでに去ったと思う。(ロシアに)残っているのはそれを支持する人たち」との見解を示した。