*16:56JST 来週の相場で注目すべき3つのポイント:米中小売売上高、米連銀景気指数、日1-3月期GDP
■株式相場見通し
予想レンジ:上限29900円-下限28500円
来週の東京株式市場は弱含みか。
米4月の消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)でインフレの鈍化基調を確認し、米金利も大きく低下していることで安心感が生まれつつある。
一方、米国では一部地銀の預金流出の動きが確認され、金融不安が再燃している。
また、米連邦政府の債務上限問題が遅々として解消に向かわず、早ければ6月1日にも米政府の資金繰りが行き詰まる可能性が指摘されている。
日米ともに主力企業の決算発表が一巡してきたこともあり、これからは手掛かり材料も不足してくる。
さらに、5月限オプション取引の特別清算指数(SQ)算出を通過したことで需給転換が意識されるタイミングでもあるため、調整含みになる可能性を意識しておきたい。
一方、今週末の日経225先物は夜間取引の間に29500円を超えてきた。
為替の円安進行が追い風になった背景もあるが、米株価指数の冴えない動きが続いているなかで独歩高の強さが引き続き目立っている。
市場関係者の間では日本版のFOMO(Fear Of Missing Out)が起きているといった指摘も聞かれており、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)などに関係なく、「上がるから買う、買いが買いを呼ぶ」状況が生まれているもよう。
こうした中、買い遅れた投資家が多いと思われるほか、発行済み投資口数が過去最多を更新している日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信 (TYO:1357)を通じて含み損を抱えている売り方の下値での買い戻しが想定され、相場は意外な堅調さが続く可能性もあろう。
米国では5月ニューヨーク連銀景気指数(15日)、5月フィラデルフィア連銀製造業景気指数(18日)のほか、4月小売売上高、4月鉱工業生産が、また中国でも4月鉱工業生産、4月小売売上高、4月固定資産投資などの重要経済指標が発表される。
中国では国家版および民間版の製造業購買担当者景気指数(PMI)が景況感の拡大・縮小の境界値である50をともに割り込んだほか、11日に発表されたCPIとPPIはともに市場予想を下回った。
来週の鉱工業生産と小売売上高では引き続き回復傾向が予想されているが、予想を下回れば改めて景況感の失速が意識され、機械など製造業セクターを中心に関連株の重しとなりそうだ。
米国でも相対的に堅調されてきた個人消費の息切れが懸念されている。
今回の4月小売売上高は前月比でマイナスだった3月から前月比プラスへの回復が予想されているが、こちらも予想を下回れば、景気後退懸念が一段と強まる恐れがある。
今週は米CPIと米PPIでインフレ鈍化が確認されたにもかかわらず、ダウ平均は両指標の発表日はともに下落するなど景気への先行き警戒感がくすぶっていることが窺えた。
米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ打ち止めがほぼ確実視されるなか、投資家の目線は景気に集中しており、経済指標への注目度は今まで以上に高まっているといえる。
米経済指標の下振れで景気悪化が意識されれば、為替の円高が進むことも想定され、日本株の調整要因につながる可能性は高いため注意しておきたい。
一方、国内では17日に1-3月期国内総生産(GDP)速報値、19日には4月全国消費者物価指数(CPI)が発表される。
国内では直近まで物価指標の上振れが続いている。
4月28日に発表された4月東京都区部のCPIは、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコア指標では前年比+3.8%と2月(+3.4%)から伸びが大きく拡大、市場予想(+3.5%)も上回り、41年ぶりの高水準となった。
全国版の消費者物価指数でも上振れが想定され、その場合には日本銀行の金融緩和修正への思惑から為替の円高が進みやすくなりそうで、この点も日本株の調整要因として頭の片隅に置いておきたい。
■為替市場見通し
来週のドル・円は下げ渋りか。
直近発表の米インフレ関連指標の伸びは鈍化し、金利安・ドル安に振れやすい展開となりそうだ。
ただ、米国景気減速の懸念は和らいでおり、年内利下げ観測は後退したことから、ドルの下げは限定的となろう。
5月10日に発表された4月消費者物価総合指数(CPI)は前年比+4.9%、同コア指数は前年比+5.5%と前回を小幅に下回った。
ただ、前月比の上昇率は鈍化していないため、インフレ高止まりが意識された。
インフレ持続の結果を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)が早い時期に金融緩和に転換する可能性は低下し、金利高・ドル高に振れやすい。
4月小売売上高など経済指標で消費の改善が示された場合、ドルは下げづらい面もある。
ただ、1-3月期決算で中堅以下の地銀の業績悪化が確認され、金融株の不安定な値動きが目立つ。
大幅な資金流出も不安材料。
金融機関の貸出基準厳格化は企業活動の縮小につながりかねず、引き続き景気後退が意識されやすい。
米債務上限問題について、ホワイトハウスと議会との協議が難航していることはドル売り材料となる。
■来週の注目スケジュール
5月15日(月):日・国内企業物価指数(4月)、日・工作機械受注(4月)、日・決算発表→エーザイ、ブリヂストン、リクルトHD、ヤマハ発、第一生命H、日本郵政、日産化、千葉銀行、スズキ、京セラ、三井住友FG、朝日インテ、日本ペイHD、かんぽ生命、飯田GHD、ゆうちょ銀、みずほFG、電通G、SMC、T&DHD、オープンH、住友化、テルモ、MUFG、三菱HCC、近鉄GHD、鹿島、阪急阪神H、米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(5月)、米・アトランタ連銀総裁が金融市場関連会合の冒頭であいさつ、米・ミネアポリス連銀総裁が討論会に参加、など
5月16日(火):中・鉱工業生産指数(4月)、中・小売売上高(4月)、中・固定資産投資(都市部)(4月)、独・ZEW期待指数(5月)、米・小売売上高(4月)、米・鉱工業生産指数(4月)、米・NAHB住宅市場指数(5月)、米・クリーブランド連銀総裁がダブリンで講演、米・ニューヨーク連銀総裁がバージン諸島の大学のイベントで公開討議、米・アトランタ連銀総裁とシカゴ連銀総裁がアトランタ連銀主催の会合で公開討論、など
5月17日(水):日・GDP速報値(1-3月)、日・鉱工業生産(3月)、中・新築住宅価格(4月)、欧・ユーロ圏CPI(4月)、米・住宅着工件数(4月)、米・決算発表→シスコシステムズ、など
5月18日(木):日・貿易収支(4月)、米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(5月)、米・中古住宅販売件数(4月)、米・決算発表→ウォルマート、アプライド・マテリアルズ、など
5月19日(金):日・全国消費者物価指数(4月)、G7広島サミット(21日まで)、日・決算発表→東京海上HD、信金中央金庫、SOMPOホールディングス、MS&AD、米・ニューヨーク連銀総裁がワシントンの会合で基調講演、米・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長とバーナンキ元FRB議長がワシントンの会合で討論会に参加、など
予想レンジ:上限29900円-下限28500円
来週の東京株式市場は弱含みか。
米4月の消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)でインフレの鈍化基調を確認し、米金利も大きく低下していることで安心感が生まれつつある。
一方、米国では一部地銀の預金流出の動きが確認され、金融不安が再燃している。
また、米連邦政府の債務上限問題が遅々として解消に向かわず、早ければ6月1日にも米政府の資金繰りが行き詰まる可能性が指摘されている。
日米ともに主力企業の決算発表が一巡してきたこともあり、これからは手掛かり材料も不足してくる。
さらに、5月限オプション取引の特別清算指数(SQ)算出を通過したことで需給転換が意識されるタイミングでもあるため、調整含みになる可能性を意識しておきたい。
一方、今週末の日経225先物は夜間取引の間に29500円を超えてきた。
為替の円安進行が追い風になった背景もあるが、米株価指数の冴えない動きが続いているなかで独歩高の強さが引き続き目立っている。
市場関係者の間では日本版のFOMO(Fear Of Missing Out)が起きているといった指摘も聞かれており、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)などに関係なく、「上がるから買う、買いが買いを呼ぶ」状況が生まれているもよう。
こうした中、買い遅れた投資家が多いと思われるほか、発行済み投資口数が過去最多を更新している日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信 (TYO:1357)を通じて含み損を抱えている売り方の下値での買い戻しが想定され、相場は意外な堅調さが続く可能性もあろう。
米国では5月ニューヨーク連銀景気指数(15日)、5月フィラデルフィア連銀製造業景気指数(18日)のほか、4月小売売上高、4月鉱工業生産が、また中国でも4月鉱工業生産、4月小売売上高、4月固定資産投資などの重要経済指標が発表される。
中国では国家版および民間版の製造業購買担当者景気指数(PMI)が景況感の拡大・縮小の境界値である50をともに割り込んだほか、11日に発表されたCPIとPPIはともに市場予想を下回った。
来週の鉱工業生産と小売売上高では引き続き回復傾向が予想されているが、予想を下回れば改めて景況感の失速が意識され、機械など製造業セクターを中心に関連株の重しとなりそうだ。
米国でも相対的に堅調されてきた個人消費の息切れが懸念されている。
今回の4月小売売上高は前月比でマイナスだった3月から前月比プラスへの回復が予想されているが、こちらも予想を下回れば、景気後退懸念が一段と強まる恐れがある。
今週は米CPIと米PPIでインフレ鈍化が確認されたにもかかわらず、ダウ平均は両指標の発表日はともに下落するなど景気への先行き警戒感がくすぶっていることが窺えた。
米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ打ち止めがほぼ確実視されるなか、投資家の目線は景気に集中しており、経済指標への注目度は今まで以上に高まっているといえる。
米経済指標の下振れで景気悪化が意識されれば、為替の円高が進むことも想定され、日本株の調整要因につながる可能性は高いため注意しておきたい。
一方、国内では17日に1-3月期国内総生産(GDP)速報値、19日には4月全国消費者物価指数(CPI)が発表される。
国内では直近まで物価指標の上振れが続いている。
4月28日に発表された4月東京都区部のCPIは、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコア指標では前年比+3.8%と2月(+3.4%)から伸びが大きく拡大、市場予想(+3.5%)も上回り、41年ぶりの高水準となった。
全国版の消費者物価指数でも上振れが想定され、その場合には日本銀行の金融緩和修正への思惑から為替の円高が進みやすくなりそうで、この点も日本株の調整要因として頭の片隅に置いておきたい。
■為替市場見通し
来週のドル・円は下げ渋りか。
直近発表の米インフレ関連指標の伸びは鈍化し、金利安・ドル安に振れやすい展開となりそうだ。
ただ、米国景気減速の懸念は和らいでおり、年内利下げ観測は後退したことから、ドルの下げは限定的となろう。
5月10日に発表された4月消費者物価総合指数(CPI)は前年比+4.9%、同コア指数は前年比+5.5%と前回を小幅に下回った。
ただ、前月比の上昇率は鈍化していないため、インフレ高止まりが意識された。
インフレ持続の結果を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)が早い時期に金融緩和に転換する可能性は低下し、金利高・ドル高に振れやすい。
4月小売売上高など経済指標で消費の改善が示された場合、ドルは下げづらい面もある。
ただ、1-3月期決算で中堅以下の地銀の業績悪化が確認され、金融株の不安定な値動きが目立つ。
大幅な資金流出も不安材料。
金融機関の貸出基準厳格化は企業活動の縮小につながりかねず、引き続き景気後退が意識されやすい。
米債務上限問題について、ホワイトハウスと議会との協議が難航していることはドル売り材料となる。
■来週の注目スケジュール
5月15日(月):日・国内企業物価指数(4月)、日・工作機械受注(4月)、日・決算発表→エーザイ、ブリヂストン、リクルトHD、ヤマハ発、第一生命H、日本郵政、日産化、千葉銀行、スズキ、京セラ、三井住友FG、朝日インテ、日本ペイHD、かんぽ生命、飯田GHD、ゆうちょ銀、みずほFG、電通G、SMC、T&DHD、オープンH、住友化、テルモ、MUFG、三菱HCC、近鉄GHD、鹿島、阪急阪神H、米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(5月)、米・アトランタ連銀総裁が金融市場関連会合の冒頭であいさつ、米・ミネアポリス連銀総裁が討論会に参加、など
5月16日(火):中・鉱工業生産指数(4月)、中・小売売上高(4月)、中・固定資産投資(都市部)(4月)、独・ZEW期待指数(5月)、米・小売売上高(4月)、米・鉱工業生産指数(4月)、米・NAHB住宅市場指数(5月)、米・クリーブランド連銀総裁がダブリンで講演、米・ニューヨーク連銀総裁がバージン諸島の大学のイベントで公開討議、米・アトランタ連銀総裁とシカゴ連銀総裁がアトランタ連銀主催の会合で公開討論、など
5月17日(水):日・GDP速報値(1-3月)、日・鉱工業生産(3月)、中・新築住宅価格(4月)、欧・ユーロ圏CPI(4月)、米・住宅着工件数(4月)、米・決算発表→シスコシステムズ、など
5月18日(木):日・貿易収支(4月)、米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(5月)、米・中古住宅販売件数(4月)、米・決算発表→ウォルマート、アプライド・マテリアルズ、など
5月19日(金):日・全国消費者物価指数(4月)、G7広島サミット(21日まで)、日・決算発表→東京海上HD、信金中央金庫、SOMPOホールディングス、MS&AD、米・ニューヨーク連銀総裁がワシントンの会合で基調講演、米・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長とバーナンキ元FRB議長がワシントンの会合で討論会に参加、など