*09:00JST 英総選挙に向けポンド買い【フィスコ・コラム】
ポンドはドルに対して底堅く、ユーロや豪ドルに比べ地合いの強さが目立っています。
イギリスのインフレ高止まりで、主要中銀のなかでは最も利下げ時期が遅いとみられているためです。
年内にも行われる総選挙での政権交代も、ポンド買い要因となるでしょうか。
ポンド・ドル相場は年明け以降、おおむね1.26ドルを上回る底堅い値動きが続いています。
英中銀が昨年9月の金融政策委員会(MPC)で市場予想に反し政策金利を5.25%に据え置くと、ポンド売り優勢となり一時1.2036ドルまで値を下げました。
英中銀の利上げサイクルは終了したとみられるものの、米邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げによるドル売りがポンドを支えているようです。
17日に発表された消費者物価指数(CPI)で総合、コア指数も高止まり、ポンド買いにつなげました。
英中銀の政策金利の据え置き期間について、米銀は2025年2月から今年8月に4カ月前倒ししています。
その後は四半期ごとに25ベーシスポイント(bp)の利下げを続けるとの見立てです。
それでも、年前半の緩和が想定される欧州中銀に比べれば遅い方で、ポンドは売りづらい状況です。
政治情勢もポンド売りを抑制する要因。
英下院は2025年1月の任期満了を前に、今年中に解散・総選挙が行われる見通し。
その時期として、5月に予定される地方選と同日選挙になるとの憶測が広がりました。
過去の総選挙が5月に多く実施されてきたことも、そうした見方を正当化しているようです。
スナク首相は最近、「取り組むべきことが多い」としており、年後半の可能性に言及しています。
直近の世論調査によると、スナク氏の支持率は21%、不支持率は70%に達し、不人気ぶりが改めて示されました。
政党別でも保守党が労働党に大きく引き離され、劣勢に変わりはありません。
スナク氏は国内経済のテコ入れのため減税を決定したほか、アメリカとともにイスラム武装組織フーシ派への攻撃を開始。
選挙をなるべく後ずれさせ、その間に大勢を立て直そうという狙いかもしれません。
米通信社の調査で、労働党政権の発足が英国株やポンドにとって好ましい、との市場の見方が示されました。
トラス前政権の財政拡張路線による信用失墜をスナク氏が立て直した現在も、保守党政権の経済政策への疑念が払拭されていません。
そのため、ブレア政権以来の中道寄りに路線を変更した労働党に期待が高まります。
米大統領選に比べ英総選挙の方が先読みしやすいため、ドルよりポンドが選好されるでしょう。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。
イギリスのインフレ高止まりで、主要中銀のなかでは最も利下げ時期が遅いとみられているためです。
年内にも行われる総選挙での政権交代も、ポンド買い要因となるでしょうか。
ポンド・ドル相場は年明け以降、おおむね1.26ドルを上回る底堅い値動きが続いています。
英中銀が昨年9月の金融政策委員会(MPC)で市場予想に反し政策金利を5.25%に据え置くと、ポンド売り優勢となり一時1.2036ドルまで値を下げました。
英中銀の利上げサイクルは終了したとみられるものの、米邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げによるドル売りがポンドを支えているようです。
17日に発表された消費者物価指数(CPI)で総合、コア指数も高止まり、ポンド買いにつなげました。
英中銀の政策金利の据え置き期間について、米銀は2025年2月から今年8月に4カ月前倒ししています。
その後は四半期ごとに25ベーシスポイント(bp)の利下げを続けるとの見立てです。
それでも、年前半の緩和が想定される欧州中銀に比べれば遅い方で、ポンドは売りづらい状況です。
政治情勢もポンド売りを抑制する要因。
英下院は2025年1月の任期満了を前に、今年中に解散・総選挙が行われる見通し。
その時期として、5月に予定される地方選と同日選挙になるとの憶測が広がりました。
過去の総選挙が5月に多く実施されてきたことも、そうした見方を正当化しているようです。
スナク首相は最近、「取り組むべきことが多い」としており、年後半の可能性に言及しています。
直近の世論調査によると、スナク氏の支持率は21%、不支持率は70%に達し、不人気ぶりが改めて示されました。
政党別でも保守党が労働党に大きく引き離され、劣勢に変わりはありません。
スナク氏は国内経済のテコ入れのため減税を決定したほか、アメリカとともにイスラム武装組織フーシ派への攻撃を開始。
選挙をなるべく後ずれさせ、その間に大勢を立て直そうという狙いかもしれません。
米通信社の調査で、労働党政権の発足が英国株やポンドにとって好ましい、との市場の見方が示されました。
トラス前政権の財政拡張路線による信用失墜をスナク氏が立て直した現在も、保守党政権の経済政策への疑念が払拭されていません。
そのため、ブレア政権以来の中道寄りに路線を変更した労働党に期待が高まります。
米大統領選に比べ英総選挙の方が先読みしやすいため、ドルよりポンドが選好されるでしょう。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。