[シドニー 19日 ロイター] - オーストラリア連邦統計局が発表した8月の雇用統計は、就業者数が前月比3万4700人増加したものの、求職者の増加を背景に失業率は5.3%に上昇し、1年ぶり高水準となった。
労働市場の緩みを示唆する結果で、オーストラリア準備銀行(中央銀行)が追加緩和に踏み切るとの見方が強まった。
就業者数の伸びは市場予想(1万人)の3倍以上となった。ただ、パートタイム就業者が5万0200人増加した一方、フルタイム就業者数は1万5500人減少。不完全雇用を示す指標もやや上昇した。
統計発表後、豪ドル
中銀は賃金や物価上昇のけん引役として労働市場に期待しており、雇用統計を注視している。これまでに、賃金上昇圧力を生み出すため失業率が4.5%付近に低下するのが望ましいとの見方を示している。
しかし、失業率は2月に4.9%に低下した後、徐々に上昇している。失業率上昇の一因となっているのが求職者の増加だ。8月の労働参加率は66.2%と、1年前の65.6%を上回っている。
エコノミストや市場参加者は中銀が年内にあと1回の利下げを実施すると予想し、一部では政策金利が来年0.5%かそれを下回る水準に引き下げられるとの見方もある。
ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)のエコノミスト、カイシン・オウヨン氏は「豪中銀が完全雇用とインフレ目標を達成するためにはさらなる刺激策が必要との根拠がさらに強まった」と述べた。
今回の低調な雇用統計を受け、コモンウェルス銀行(CBA) (AX:CBA)のエコノミストは、ウェストパックのエコノミストに続き、10月の金融緩和を見込んだ。
<10月利下げの可能性は70%>
世界的な求人情報サイトであるインディードのエコノミスト、カラム・ピカリング氏は「失業率の上昇は、賃金の伸びが拡大することはしばらくなさそうだということを示唆している」と指摘。「(失業増大は)賃金とインフレにネガティブであり、金利に対する豪中銀のスタンスを正当化する。10月会合であれ、11月会合であれ、現時点で利下げはほぼ確実に思える」とした。
先物市場<0#YIB:>では現在、10月に政策金利が0.75%に引き下げられる可能性は70%となっている。雇用統計発表前は五分五分とみられていた。来年2月に0.5%まで引き下げられることはほぼ織り込まれた。
投資家の次の焦点は今月24日に行われるロウ中銀総裁のディナースピーチだ。
*内容を追加しました。