[北京 11日 ロイター] - 中国国家統計局が11日発表した4月の生産者物価指数(PPI)は前年比8.0%上昇した。前月の8.3%から鈍化し、世界的なコモディティー(商品)価格の上昇にもかかわらず1年ぶりの低水準となった。市場予想の7.7%は上回った。
政府主導の生産努力が供給を下支えし、新型コロナウイルス規制のロックダウン(都市封鎖)が主要産業に影響したことで需要が鈍った。
PPI上昇率が1年ぶりの低水準となったことで、追加の景気刺激策を発動する余地が残った。
キャピタル・エコノミクスの中国担当シニアエコノミスト、ジュリアン・エバンズプリチャード氏は「PPIの伸びは今後数四半期にわたり鈍化が続く見込み」とし、「ウクライナでの戦争によって依然かなりの不透明感があるが、国際商品価格は総じて下落して今年を終える」との見方を示した。
国家統計局はPPI上昇率の鈍化について、コモディティー価格の安定化と供給拡大に向けた対策が寄与したと指摘した。
国家発展改革委員会は10日、エネルギー価格の安定化と石油・ガス開発の加速を呼びかけていた。
中国政府は今年の石炭生産を1日当たり1260万トンとする目標を掲げているほか、ウクライナ戦争を背景に地政学面の不透明感が高まったことを受けてエネルギー安全保障を優先している。
消費者物価指数(CPI)は前年比2.1%上昇と、3月の1.5%から伸びが加速し、5カ月ぶりの高水準となった。市場予想の1.8%上昇も上回った。主要都市での大規模ロックダウンによって日用品の供給が影響を受けた。
食品価格は前年比1.9%上昇。3月は1.5%下落していた。
CPIの前年比上昇率は今年の政府目標である3%を依然として下回っており、消費者物価の上昇圧力が比較的抑制されていることが示された。
前出のエバンズプリチャード氏は「このため、インフレが中国人民銀行(中央銀行)の政策措置の制約になる可能性は低い」と述べた。
人民銀は9日、実体経済への支援を強化すると表明した。国内インフレを注視し、先進国の政策調整を監視する方針も示した。
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