■今後の見通し1. 2020年3月期の見通し(1) 業績予想:会社予想はなしプロスペクト (T:3528)は、国内外の経済状況や市場環境等の変動により大きな影響を受ける傾向にある金融関連事業(アセットマネジメント)を行っていること等から、通期の業績予想を発表していない。
しかしながら、前期決算で大幅な営業損失を計上した主要因は、子会社TPFJが保有する株式(主に日本株式)の評価損であるため、期末の株価水準によって業績は大きく左右される。
そのため、会計上の収益は今後の株式市場の動向に左右されると言える。
また同社の業績を評価する場合、前述のように事業が幅広く分散されているため、その内容も短期で収益を計上できるものがある一方で、回収までに時間のかかる事業もある。
さらにそれらの回収が必ずしも売上高として計上されるわけではなく、営業外収益であったり特別利益として計上される場合もあるので、決算結果については、営業損益や経常損益だけでなく、特別損益も含めた総合的な利益やキャッシュ・フローで評価すべきだろう。
(2) 配当予想:復配を見込む既述のように2019年3月期決算が大幅な損失となったことから、同社は期末の配当を見送り、無配となった。
しかし同社は、「2020年3月期については最低でも1円の配当を行いたい」と述べており、そのために必要な資本移動(資本剰余金から利益剰余金への振替え)を株主総会の承認を得て行う予定である。
2. 新事業の展開:バイオマス事業へ進出同社では次の再生可能エネルギー事業として、日本国内におけるソーラー事業に続き、ロシアにおいてバイオマス燃料(木質ペレット)製造事業へ進出していることを公表した。
ロシアのRFPグループと合弁会社を立ち上げ、RFPグループが所有する木材製材工場から排出されるおが屑等を原料として、同工場の隣接地に木質ペレット製造工場を建設して、その木質ペレットを日本のバイオマス発電所の燃料として輸出しようというものである。
顧客は主としてFITを利用するバイオマス発電所を想定している。
この工場建設1ヶ所当たり25~30億円程度の投資額を見込んでおり、今後ロシア国内数ヶ所に工場を建設することを目標としている。
現在の進捗状況としては、2018年5月、ロシア連邦ハバロフスク地方アムルスクにおいて造成工事に着工、 2019年秋を目途に稼働を予定している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)