■スカラ (T:4845)の業績動向2. 事業セグメント別動向(1) SaaS/ASP事業SaaS/ASP事業の売上収益は前期比26.7%増の3,980百万円、営業利益は同25.6%増の703百万円となり、過去最高を連続更新した。
売上収益を形態別で見ると月額課金収益は既存顧客におけるクロスセルの浸透や新規顧客の獲得が進んだことで前期比17.8%増の2,377百万円に、従量課金収益はコネクトエージェンシーの売上が第2四半期以降加わったことに伴い同154.9%増の441百万円に、一時的な売上収益は山洋電気 (T:6516)向けに製品情報の一元管理が可能なPIMシステム(Product Information Management:商品情報管理)を新規導入したことにより同22.7%増の1,161百万円となり、それぞれ大幅増収となった。
コネクトエージェンシーについては2018年11月以降、連結業績に組み込まれており、売上高で3〜4億円、利益で数千万円のプラス要因だったと見られる。
サービス別ではおおむねすべての商品で売上が伸長したが、なかでも「i-ask」は新規顧客の開拓が進み増収に貢献した。
また、新サービスとして2017年以降にリリースした「i-gift」※1や「i-assist」※2、「i-livechat」※3なども金融機関を中心に順調に導入が進んでいる。
さらには、レオコネクトとの共同提案により(株)ハルエネや(株)Hi-Bit、(株)ラストワンマイル等の光通信グループやその代理店へのサービス導入も進み、シナジー効果が早速出始めている。
※1 「i-gift」は、企業が新製品の販促キャンペーンやプレゼントキャンペーンを実施する際に、商品に交換可能なデジタルギフト(QRコード等のID付き電子メッセージ)を、SMSまたは電子メールで顧客に送り、受け取った個人がそれを持って店舗で利用する格好となる。
料金体系は月額固定料金に発行するID件数に応じた従量課金が加わることになるため、発行ID数が増えるほど同社の売上収益も増加することになる。
※2 「i-assist」は、AIを活用したチャットボットシステム。
※3 「i-livechat」は、サイト訪問者の疑問や悩みに対して、カスタマーサポートセンター等のオペレーターがリアルタイムでチャット形式により問題解決に導くことができるWebチャットサービスとなる。
「i-search」や「i-ask」との連動により、チャット対応画面でユーザーのコンテンツ内容をオペレーターが確認しながら対応することも可能となっており、顧客満足度の向上に寄与するサービスとなる。
主に企業のコールセンターへの導入を想定している。
(2) SFA事業SFA事業の売上収益は前期比15.6%増の4,844百万円、営業利益は同42.2%増の922百万円となり、最高業績を更新した。
人手不足か深刻化し、働き方改革に取り組む企業が増えるなかで、営業部門の生産性向上を目的にSFAツールを導入する企業が増加しており、「使い勝手No.1」の評価を受けている「eセールスマネージャー」の販売がクラウド型サービスを中心に好調に推移した。
利益率も「eセールスマネージャー」の増収効果によって人件費や開発費の増加を吸収し、前期比3.5ポイント上昇の19.0%となった。
(3) フィールドマーケティング事業フィールドマーケティング事業の売上収益は前期比15.6%増の3,955百万円、営業利益は同21.8%増の319百万円と増収増益が続いた。
営業組織体制を変更し、新規顧客の開拓に注力した結果、店頭構築等のスポット案件の受注が増加したほか、既存顧客からのフィールド活動一括受託案件も堅調に推移し、増収増益要因となった。
新たな取り組みとして、BtoB領域における営業代行業務への展開も進めており、徐々に受注が増え始めている。
(4) カスタマーサポート事業カスタマーサポート事業の売上収益は前期比220.3%増の2,744百万円、営業利益は同770.4%増の68百万円となった。
2018年6月期第3四半期から連結に組み入れたため、同期間での比較はできないがグループのシナジーを生かした取り組みは着実に進んでいる。
従来からの光通信グループ各社からのインバウンドコールセンター業務の受託に加えて、大手新電力企業や大手通信企業のカスタマーコンサルティング業務やスカラコミュニケーションズのサービス(SaaS/ASP事業)利用顧客のカスタマーサポート業務受託などを受注した。
利益率は2.5%と低いものの、スカラコミュニケーションズと基幹システムの共同開発を現在進めており、生産性向上と新規顧客の開拓等により利益率向上に取り組んでいく方針となっている。
(5) その他その他の売上収益は前期比30.4%増の1,587百万円、営業利益は同106.5%増の138百万円となった。
売上収益の内訳を見ると、EC事業はトレーディングカードの売買が活況に推移したことにより、前期比56.8%増の858百万円と大幅増収となった。
一方、システム開発及び出版事業は、システム開発事業の増収により同9.0%増の729百万円と堅調に推移した。
利益面では、システム開発及び出版事業の収益改善が増益要因になったと見られるが、EC事業についても堅調に推移した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)