[ニューヨーク 7日 ロイター] 8日からの週の米国株式市場は、前週に米中間選挙と連邦公開市場委員会(FOMC)、雇用統計という3つの大きな材料をこなしたことを受け、方向感を探る展開となる見通し。決算シーズンは終盤に入り、経済指標の発表も乏しい。
S&P総合500種<.SPX>は9月初め以降16%超上昇していたことから、前週の主要3材料が出尽くした後は買い控えが見られるとの観測が大勢だったが、投資家はむしろ買い進めているようだ。
米株式投資家の不安心理の度合いを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数)は19を割り込む水準に低下しており、前週終盤の展開を踏まえると、市場は一段の上昇を見込んでいるもようだ。
FRBが量的緩和を通じて市場を下支えする中、金利はしばらくの間低水準にとどまる可能性が高く、それが借り入れを支援し、比較的リスクの高い資産の魅力が高まることが予想される。経済がFRBによる国債買い入れ計画に反応していないことを示す重大なデータでも出ない限り、小幅な調整以上に相場が下げることは考えにくい。
シェーカー・インベストメンツの最高投資責任者(CIO)、エドワード・ヘメルガーン氏は「FRBが実施しているのは、一貫した資金供給の拡大だ。投資家心理にとって一貫性は大きな刺激よりもはるかに重要になる」と述べた。
こうしたムードは5日の雇用統計発表前に既に市場に広がっていた。10月の雇用統計は、民間部門の雇用の伸びが4月以来の大きさとなった。FRBの追加緩和措置や好調な企業決算、雇用市場の改善などの好材料に市場が抵抗することは予想しにくい。
FRBの政策を受けて利回りを追及する動きがいっそう強まる見通しで、今後、金融銘柄への買いが進む可能性がある。
金融株は5日、FRBが近く、健全な銀行に増配を認める可能性があるとの観測を受けて力強い上昇を見せ、フィラデルフィアKBW銀行株指数<.BKX>は2.2%高となった。金融株は9月以降アンダーパフォームしてきたことから、引き続き上昇する可能性がある。
ただ、いくつかの指数は相場が値固めの水準にあることを示唆しており、調整が入ることも考えられる。
ビスポーク・インベストメント・グループは、このところの上昇で主要株価指数と主なセクターは「過度に買われ過ぎ」の水準に達していると指摘した。
S&P総合500種は1228近辺が強力な抵抗線となる見通し。同指数は4月にこの水準を試したものの、突破できずに下落し、7月上旬には年初来安値をつけた。
アウアーバッハ・グレーソンのグローバル・テクニカル・ストラテジスト、リチャード・ロス氏は、4月と今回の違いについて「4月の高値水準からかなり大幅な調整を経てきたことから、今回ははるかに強い基盤ができている」との見方を示した。
上昇している銘柄の流れに乗る投資家の動きも、抵抗線の突破に寄与するもう1つの要因となる可能性がある。