[モスクワ 23日 ロイター] - トレーダーやロイターの試算によると、ロシア産原油の価格は運賃の低下や旺盛な需要を背景に今後、日米欧などが設定した1バレル=60ドルの上限に向けて上昇する見通しだ。価格上限制でロシアへの圧力が高まるとの見方とは裏腹に、ロシアの原油輸出収入は3月に増加しそうだ。
イエレン米財務長官は23日、ロシアの先月の原油収入はウクライナ侵攻直後と比べて60%近く減少したと述べた。
しかしトレーダーが最近のロシア産原油の価格を調べたところ、ロシアの輸出業者の収入は類似した種類の原油を取り扱う米国の輸出業者に比べて20―25%少ない水準にとどまった。
また市場データに基づくロイターの試算によると、バルト海の港の3月初旬積みロシア産ウラル原油は、船舶輸送と保険の費用を除く価格が55ドル前後で、1月の39―45ドルから上昇した。
ロシア財務省によると、ロシアの1月の原油収入は、中国、インド、トルコに安い価格で販売したため前年同期比で40%落ち込んだ。しかしトレーダーによると、市場に参入するタンカーが増えてロシア産を輸送する船舶の確保が容易になったため、ロシア産原油の2月の運賃は昨年12月から今年1月に比べて低下した。
また別のトレーダーによると、この数カ月は海上経由で輸出されるウラル原油の半分余りを購入しているインドが、やはりロシア産の購入意欲を強めている中国と対抗するため、ロシア産に高い価格を提示しているという。