[クアラルンプール 10日 ロイター] - マレーシア中央銀行が10日発表した2022年第4・四半期の国内総生産(GDP)は前年比7%増加した。内需拡大が続き、電子機器などへの需要が堅調だった。
伸び率は市場予想の6.6%を上回ったが、第3・四半期の14.2%からは鈍化した。
22年通年のGDP伸び率は8.7%となり、政府の目標の6.5─7%を上回り、22年ぶり高水準を記録した。
ただ、世界経済の減速に伴い23年の成長率は4─5%に鈍化すると中銀は予想している。
中銀のノル・シャムシアー総裁は記者会見で、地政学的な緊張の高まりとサプライチェーン(供給網)の混乱、各国の金利上昇など下振れリスクがあると指摘した。
一方で成長率が予想を上回る可能性もあると述べ、「マレーシア経済が景気後退(リセッション)に陥ることはない」とし、所得は増加しており投資も堅調を維持していると説明した。
中国の渡航規制緩和で観光客が戻り、輸出の伸び鈍化の影響を和らげることを中銀は期待している。
総裁は「第1・四半期の経済成長を引き続き楽観している。第4・四半期より成長の勢いが増すかもしれない」と述べた。
23年の総合インフレとコアインフレ率は鈍化が見込まれるが、引き続き高水準を維持するとの見方を示した。
22年の総合インフレ率は3.3%、コアインフレ率は3.0%だった。
中銀は先月、市場予想に反して政策金利の据え置きを決定した。
総裁は政策金利を据え置くことで、金利調整がインフレと経済活動に与える影響を見極めることが可能になると説明した。
オックスフォード・エコノミクスは、第3・四半期から第4・四半期にかけてGDPが2.6%減少したことに触れ、「今年の追加利上げの可能性は非常に低い」と指摘。
キャピタル・エコノミクスは、観光客の増加や労働力不足の緩和でも今後数四半期、マレーシア経済が伸び悩むと予想。「世界の需要低迷が引き続き輸出の重しになる。エレクトロニクスが輸出全体の約3分の1を占めることを踏まえると、マレーシアは現在の海外ハイテク産業の低迷の影響を特に受けやすい」と述べた。