[ロンドン 20日 ロイター] - トラス英首相は20日、就任からわずか6週間で辞任を表明した。後任を選ぶ保守党党首選は来週中に行われる予定。
党内の分裂からみて突出した候補者はいない。主な候補者は以下の通り。
◎スナク元財務相
前回の党首選では議員からの支持を最も集めたが、最終決戦の党員投票でトラス氏に敗北した。
同氏が財務相を辞任したことがジョンソン前政権崩壊の引き金となった。トラス氏に対し、財源の裏付けのない減税を実施すれば市場の信頼を失いかねないと警告していた。
ブックメーカー(賭け業者)の「ベットフェア」では最有力とされている。
テレグラフ紙によると、スナク氏が党首選に立候補するのは「確実」だという。
◎モーダント元国防相
前回党首選では第5回投票まで進んだが、スナク氏とトラス氏に次いで3位となり落選した。
EU(欧州連合)離脱を支持。党内に広く支持者を持つ。スカイニュースは同氏が立候補する可能性が高いと報じた。
◎ハント財務相
クワーテング前財務相の解任後、後任として14日に起用された。
テレビや下院での自信に満ちたパフォーマンスや、トラス首相の経済対策を撤回したことなどにより、すでに一部の保守党議員はハント氏を「真の首相」と呼ぶに至っている。
ジョンソン氏に最終決戦で敗れた2019年を含め、過去2回の党首選に立候補しているものの、トップの座を望んでいないと主張。議員から明確な支持を得ているわけではない。BBCなどは、出馬を検討していないと報じている。
◎ウォレス国防相
このところの政治的混乱から信頼性を高めて浮上した数少ない閣僚の一人。元軍人。ジョンソン、トラス両政権で国防相を務め、ロシアのウクライナ侵攻に対する英国の対応を指揮した。
党員の人気も高いが、前回党首選では「現在の仕事に集中したい」と不出馬を宣言し、多くの人を驚かせた。今週タイムズ紙に、国防相であり続けたいと語った。
◎ジョンソン前首相
2019年に首相に就任。「EU離脱の顔」として、それまで保守党に投票したことのない地域の票を獲得。選挙で地滑り的勝利を収めた。しかし、相次ぐスキャンダルによって退陣を余儀なくされた。
タイムズ紙はジョンソン氏が党首選に立候補する見通しと報道。ただ側近によると、今のところジョンソン氏は第一線復帰よりも講演活動で収入を得ることに興味がある。