[東京 21日 ロイター] - 鈴木俊一財務相は21日の閣議後会見で、日本円がなぜ投機筋に狙われるのかとの質問に「今は市場を介して投機筋と厳しく対峙をしている状況にある」との認識を示し、「(質問に)こたえるのは適切ではない」と語った。
英国のトラス首相が看板政策に掲げた大型減税が市場の混乱を招き、辞任に追い込まれたことを念頭に置いた発言。日本の財政状況を巡って「ここにきて大きく変わって、いまの円安に結びついているわけではない」との考えも述べた。
財政規律そのものに関しては「財政の信認、とくに市場における信認はその国そのものの信頼に関わるし、その国の経済に対する評価にもかかわる」とし、「財政規律はしっかりと、今後ともそれを念頭においた施策を心がけていく」と強調した。
為替市場の動向については「投機による過度な変動は容認できない」との認識を示した。高い緊張感をもって動向を注視するとともに「過度な変動には適切な対応とる考えに変わりない」と語った。一方的な円安進行は望ましくないとの認識も改めて示した。
円安に伴う経済影響にはプラス、マイナスの両面があるとし、輸入価格の上昇を通じた企業や家計の負担を緩和することが重要と指摘した。「(円安の)プラス効果を最大化するインバウンド復活、企業投資の国内回帰を進める」との選択肢も示した。
9月の全国消費者物価指数が消費税率引き上げの影響を除き約31年ぶりに3%台に上昇したことについては、ウクライナ情勢の長期化に伴う原材料価格上昇に加えて円安も影響したとし、「切れ目ない対応を講じていくことが重要」と語った。
金融政策に関しては「日銀に独立性があり、そこに委ねられる。具体的なことを申し上げる立場にない」と述べるにとどめた。