[ワシントン/ハノイ 21日 ロイター] - トランプ米大統領は来年1月の退任前に、ベトナムからの輸入製品に対する制裁関税を提案しそうだ――。通貨や通商の専門家はこうした見方をしている。
米財務省は先週公表した外国為替報告書で、ベトナムを「為替操作国」に認定。また専門家は、米通商代表部(USTR)がベトナムの通貨政策について通商法301条に基づく調査を開始している点から、同国から製品を輸入している米企業は相当程度の関税が適用されるのを覚悟しなければならないと警告した。USTRの調査は、財務省による審査と並行して進められており、早ければ来年1月7日に結果が公表される可能性がある。
シンガポールに拠点を置くエイシャン・トレード・センターのエグゼクティブディレクター、デボラ・エルムス氏は「特に為替操作国の認定がある以上、米政府はベトナムに何らかの報復措置を実施する公算が極めて大きいので、通商法301条の調査手続き結果に対して今から備えておくのが賢明だ」と述べた。
米企業は今年1-10月にベトナムから約650億ドル相当の製品を輸入。制裁関税が導入されれば、4000億ドル強の収入を稼いでいる米国内の衣料品や靴、家具、電子機器、家庭用品などのセクターに打撃を与えかねない。
エルムス氏は18日に在ベトナム米商工会議所主催のオンラインイベントで、関税は重大な経済的影響を及ぼすと予想した。
ベトナム商務省は21日、関税が発動された場合、ベトナム企業は米国のパートナーと事業を行う上での信頼感を失うとけん制した。一方、両国当局者は12月終盤に「非常に大事な」協議を行うと明らかにしている。
米政府がベトナム製品に関税を適用すれば、ベトナム側も米国製品に報復関税を導入する可能性があり、政権を引き継ぐバイデン次期大統領にとって通商政策の運営を難しくする一因になるかもしれない。
バイデン氏の政権移行チームの広報担当者は、USTRの調査や財務省の為替操作国認定についての質問に回答していない。