[ストックホルム 10日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル専務理事は10日、ECBの保有債券で気候変動対応を強化すべきとの考えを示した。
スウェーデン中央銀行が主催したイベントで「ECBが保有する社債について、フローよりもストックを重視したアプローチに切り替える必要がある」と指摘。「再投資がなければ、ポートフォリオを積極的に入れ替え、より環境に優しい発行体の債券を組み入れることを検討べきだ」と述べた。
同じイベントに参加したベルギー中銀のウンシュ総裁は、気候変動対応は政府の仕事とし、措置を講じないことへの修正をECBがするべきではないと反発。「グリーン移行へ資金供給支援で役割があるとされ、ECBの責務への誤解が深まっている」と述べた。
シュナーベル理事氏は、ECBバランスシートの半分を占める8兆ユーロの公共債の配分も検討する必要があると指摘。
国際機関が発行する債券の買い入れ増加と、保有する国債のグリーンボンドへの振り替えの2つの選択肢を挙げた。
しかし、急激な金利上昇で投資コストが上昇しグリーン移行を阻害するとの見方を否定。ECBが行動しなければ、後に一段と積極的な措置を講じざるを得ないとし、経済全体やグリーンセクター双方にとって多大なコストになる、との見方を示した。
「インフレ率を2%の中期目標に迅速に戻すには、金利は依然着実なペースで大幅上昇し、十分に制限的な水準に達する必要がある」とし、「高インフレを早急に阻止できなければ、グリーン移行を根本的に危うくする」と語った。