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スターティア Research Memo(11):フリープランで顧客基盤を一気に増大させ、従量課金で収益拡大につなげる

発行済 2017-06-29 15:58
更新済 2017-06-29 16:33
スターティア Research Memo(11):フリープランで顧客基盤を一気に増大させ、従量課金で収益拡大につなげる
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■業績回復へ向けた取り組み

3. フリーミアム・モデルの導入
(1) フリーミアム・モデルの概要
デジタルマーケティング関連事業が直面する問題の内容は前述のとおりだ。
次代のメイン顧客と期待されるアーリーマジョリティ層は“新しい物好き”のアーリーアダプター層に比べて、財布の紐が固いという現実がある。
一方でスターティア (T:3393)は、デジタルマーケティング関連事業で提供する各種のマーケティング支援ソフトは、マーケティングの専任担当やIT技術者などがいない中小企業においてこそ威力を発揮できて評価をもらえることに自信を持っている。


そこで同社が決定したのが“フリーミアム”の導入だ。
フリーミアムとは基本的な機能は無料で提供し、一定量を超えた部分や特別な機能については、従量制や追加料金の形で課金するビジネスモデルのことを言う。
オンラインゲームのF2P(フリー・トウ・プレイ)に近いモデルと言える。


第1弾のサービスとして、スマホ用ランディングページ(以下、LP)サイトの制作ソフト「creca(クリカ)」のフリープランを発表し(2017年6月7日付リリース)、第2弾のサービスとして、アプリ制作ソフト「AppGoose(アップグース)」のフリープランを追加することを発表した(2017年6月12日付リリース)。
第3弾のサービスとしてMA(マーケティングオートメーション)ツール「BowNow」に7月末スタートでフリーミアム・モデルの料金プランを追加することを発表した(2017年5月24日付リリース)。
BowNowは企業IPと個人ログを活用して見込み客の把握を可能にするとともに、メールの自動送信なども可能なMAツールだ。
フリープランではメール送信を除く基本機能は有料プラン同様に利用可能となっている。
有効性を納得してもらったうえで有料プランへの移行を促していく方針だ。


同事業で扱う営業支援ソフトウェアは、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)やSFA(セールス・フォース・オートメーション)など多岐にわたっている。
今後、順次これらのソフトウェアについてもフリーミアム・モデルを導入していく方針だ。


(2) フリーミアム・モデル導入後の収益回復シナリオ
同社は元来、各種ソフトウェアをパッケージ販売していた。
ごく大まかに言えば1本300万円での売り切りモデルだ。
その後2017年3月期からクラウドサービスによる提供を合わせてスタートした。
これは月間数千円~数万円で利用可能なストック型モデルの事業形態で、顧客側から見れば分割払い料金プランと言える。
フリーミアム・モデルの導入はこれをさらに進めるもので、同社にとっては一時的に、新規顧客からの売上がゼロになり既存顧客からの収入だけとなって収益成長が止まる可能性がある。


それでも同社がフリーミアム・モデル導入に踏み切ったのは、利用実績を積み上げれば一定割合の顧客は必ず有料モデルに切り替わっていくとの読みがあるためと考えられる。
それだけ同社の自社製品に対する自信度は大きい。
そうした自信の背景にはAR活用ソフトCOCOAR(ココアル)などの実績がある。
COCOAR(ココアル)を例に取れば、アプリのダウンロード数が既に100万を超え、個人の間での認知度が高まっている。
したがってこれを販促に利用しようという企業も大手食品会社などを中心に増加している。
同社はさらにスタンプラリー機能を追加したが、これは町おこしなどに自治体の需要などを見込んでいる。
こうした実績をもとにMAツールやアプリ制作、LPサイト制作ソフトなどの各種ソフトウェアにおいても、フリーミアム・モデル導入から一定期間後には着実に収益源として取り込めると同社では見込んでいる。


弊社では、フリーミアム・モデルの導入は非常に有効性が高いと期待している。
パッケージ販売にしろ、クラウドサービスにしろ、料金がネックとなって商談が進まない状態で停滞するよりも、フリープランという形でまずは有用性を実感してもらう方がはるかに前向きな発想だと言える。
有料プランへのコンバージョン率がどの程度になるか現状では読み切れないが、有料プランになった顧客のLTV(ライフタイムバリュー:会員期間全体における売上高)はワンタイムのパッケージ売上高を上回る可能性もあると弊社ではみている。
同社のツール総導入実績は4,672社(2017年3月期末)だが、これを早期に上回るペースでのフリープラン導入を期待したい。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

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