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北日本紡績 Research Memo(3):帝人からの委託加工中心の繊維事業と新規の環境事業を展開

発行済 2017-08-24 15:13
更新済 2017-08-24 15:33
北日本紡績 Research Memo(3):帝人からの委託加工中心の繊維事業と新規の環境事業を展開
3409
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■北日本紡績 (T:3409)の事業概要

1. 事業概要
(1) 繊維事業
繊維事業では、合繊紡績糸の製造販売及び委託加工を行っている。
自動車関連資材用・産業用などのアラミド繊維(高機能難燃繊維)・高強力繊維や、衣料用・高機能インナー用・インテリア用などの紡績糸を展開している。
帝人及び帝人グループ企業からの委託加工が約8割を占め、主力は帝人から委託加工のアラミド繊維である。


生産面では生産工程の効率化に加えて、多品種・小ロット対応としての生産体制見直しや、増産体制構築などを推進している。


(2) 環境事業
環境事業は2015年12月に新規事業として立ち上げられた。
蘇生材「カラム」を主力製品(仕入販売)として、同製品を組み込んだ水質浄化システム・省エネルギー装置などの販売を行っている。


蘇生材「カラム」は特殊パウダーを練り込んだ高分子ポリエチレン材である。
プールや浴場施設の塩素臭抑制、塩素による肌荒れ・目の痛み・髪のパサつきなどの塩素障害を抑制する効果や、構築物や循環周辺機器の塩素によるヌメリ・付着物・腐食・錆を抑制する効果がある。
波状のらせん構造を形成させることによって表面積を増やしていることが特徴である。


現在はプール・浴場施設のろ過材として営業活動を展開している。
同製品を機能的に組み合わせることにより、水処理にかかる塩素臭・スライム・スケール等の付着問題の解決や水・燃料の節減をメリットとして提案している。
2017年3月期にはファスナー製造トップメーカーの冷却水の水質改善、国内有数のホテルグループの4ヶ所のろ過装置改修工事を実施した。


ただし、導入効果の検証に時間が掛かることや、商品の機能・効能の周知に時間を割かざるを得ないため、これらの問題点を解決すべく代理店に販売を委ねる方針に切り替え、2017年7月には蘇生材「カラム」に関してアサヒ衛陶と代理店契約を締結した。
今後は代理店からの販売を通して業容拡大を図る方針だ。


また、北陸先端科学技術大学院大学との共同研究「高分子材(カラム)機能の発現機構解析とその高機能化」で、蘇生材「カラム」の用途開発に寄与すべく諸検証を進めている。


蘇生材「カラム」の活用例として、家庭用洗濯機の洗浄力増進、洗剤節減、節水、洗浄・すすぎ工程短縮、洗濯槽の洗浄、部屋干し異臭の軽減、お風呂の節水・省エネ、塩素障害防止、湯垢付着防止、排水管の異臭防止、金魚・熱帯魚の水槽内の付着物減少などがあり、将来的には家庭用市場への参入も検討するようだ。


2.強み・リスク要因
同社は、1948年創業から約70年の歴史を通じて培った業界トップレベルの短繊維紡績技術、生産・品質管理能力を強みとしている。
また、生産面では多品種・小ロット化や難しい素材の生産増加などの顧客ニーズに対応して、生産工程効率化、増産体制構築、人材の確保・育成、合理的な人員配置、効率的な技術継承などに取り組んでいる。


為替変動、最終製品販売会社の不慮の事故、自然災害等の影響により、販売先の計画変更などで受注量が減少するというリスク要因がある。
特に帝人及び帝人グループ企業からの委託加工が約8割を占めているため、帝人の業績・生産計画変動や戦略変更が同社の業績に大きな影響を与える可能性がある。


3. 新製品開発、販路・新規取引先の開拓、新規事業展開
同社は、業績向上に向けて、高付加価値の新製品開発、販路・新規取引先の開拓、及び新規事業展開を推進している。
繊維事業では防護衣料分野の生産品種拡大、新規顧客向け紡績糸の開発を推進している。
2015年12月開始した新規事業の環境事業では、蘇生材「カラム」の用途拡大に向けて、北陸先端科学技術大学院大学との共同研究を推進している。


4. 有償支給材料の計上方法を2017年3月期から純額方式に変更
取引先からの有償支給材料に掛る代金について、従来は売上高及び売上原価に計上していたが、2017年3月期より売上高及び売上原価から控除する純額方式に変更したため、有価証券報告書には当該会計方針を反映した遡及修正後の数値を記載している。
この変更による純資産額に対する累積的影響はない。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)

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