[シンガポール 13日 ロイター] - シンガポールは13日、第2・四半期の国内総生産(GDP)改定値が季節調整済み前期比年率で3.3%減となったことを受け、2019年の成長率見通しを下方修正した。世界経済の悪化が予想されるとも指摘した。
政府は2019年成長率の予想レンジを従来の1.5─2.5%から0─1%に引き下げた。
第2・四半期のGDPは速報値の3.4%減からやや改善したものの、市場予想の2.9%減より大幅な落ち込みとなり、市場ではリセッション(景気後退)入りの恐れがあるとの見方が強まった。
貿易産業省は声明で「シンガポールにとって重要な最終需要先の多くで、2019年下期のGDP成長が上期から鈍化するか、もしくは同様の水準にとどまることが予想される」と指摘。
香港の政治情勢や日韓対立、米中貿易摩擦、中国経済の減速、英国の欧州連合(EU)離脱などの要因で経済のリスクが増大しているとして警戒感を示した。
統計発表後、シンガポール金融管理局(MAS)の当局者は、臨時の政策会合は検討していないと述べた。次回の定例会合は10月に予定されており、政策緩和を決定するとの見方が大勢だ。
第2・四半期のGDPは前年同期比では0.1%増となり、速報値と一致した。市場予想は0.2%増だった。
シンガポールは米中貿易摩擦の打撃を強く受けている。
シンガポール政府はまた、今年の非石油部門輸出の見通しを従来の8%減から9%減に下方修正した。第2・四半期の電子機器の輸出が前年比26.9%の大幅減となったことを受けた。
オックスフォード・エコノミクスのアジア担当エコノミスト、シアン・フェナー氏は「米中貿易摩擦が近く収束する可能性は低いため、輸出と貿易関連サービスの落ち込みによって第3・四半期は定義上のリセッション入りになると予想する」と述べた。
ニュージーランド、インド、タイの中銀は先週、景気の先行きに懸念を示し、利下げを決定した。米連邦準備理事会(FRB)も先月、2008年以降で初となる利下げに踏み切っている。
シンガポールのリー・シェロン首相は8日の年次演説で、必要であれば景気刺激策を講じる用意があると表明した。[nL4N2546I7]
OCBC銀行の債券・戦略責任者セリーナ・リン氏は「マクロ経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)が弱まっていることを踏まえると、嵐が来そうな予感がする」と語った。
*内容を追加しました。