[ソウル 10日 ロイター] - 韓国軍合同参謀本部は、北朝鮮が10日朝、平安南道价川(ケチョン)付近から東に向けて「短距離飛翔体」2発を発射したと明らかにした。米国との非核化協議再開に意欲を示した直後の発射となった。
発射時間は午前7時(日本時間同時刻)ごろで、約330キロ飛行したとしている。
北朝鮮の国営朝鮮中央通信社(KCNA)によると、同国の崔善姫(チェ・ソンヒ)第1外務次官は9日、米国との間で今月下旬に「包括的な協議」を行うことに前向きであることを明らかにした。
北朝鮮の飛翔体発射は、金正恩朝鮮労働党委員長とトランプ米大統領が6月に南北の非武装地帯にある板門店で会談し、実務者協議の再開で合意して以降、少なくとも8回目。
韓国軍合同参謀本部は「北朝鮮によるこうした緊張を高める行為は朝鮮半島の緊張緩和に向けた取り組みに資さないものであり、即時停止をあらためて求める」と表明した。
韓国大統領府も、北朝鮮が5月以降、短距離飛翔体の発射を続けていることに「強い懸念」を表明。この日の発射を受けて国家安全保障会議を開き、朝鮮半島の軍事と安全保障の状況を検証したと説明した。
韓国外務省は、李度勲(イ・ドフン)朝鮮半島平和交渉本部長が10日午前、米国のビーガン北朝鮮担当特別代表と電話協議したことを明らかにした。非核化や平和実現に向けて実質的な進展を図るための方法について話し合ったという。外務省の発表では、北朝鮮の崔第1外務次官の発言やこの日の飛翔体発射には言及しなかった。
北朝鮮はこれまでに、新型兵器の開発は自国の安全保障に対する軍事的脅威や圧力に対抗するためとしてきた。
しかし、アナリストは相次ぐ飛翔体発射について、米国との具体的な合意がない状態で北朝鮮の軍事力強化が可能になっている状況を浮き彫りにしていると指摘する。
アナリストはこの日の発射について、米政府にメッセージを送ることを狙ったタイミングで行われたようだと分析。米シンクタンク、ディフェンス・プライオリティーズのダニエル・デペトリス研究員は、米国が現実的な提案を携えて協議に臨まなければ何が起きるかを北朝鮮は示そうとしていると指摘した。
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