日経平均は7日続伸。
122.04円高の21514.14円(出来高概算7億6000万株)で前場の取引を終えている。
10日の米株式市場でNYダウは5日続伸し、73ドル高となった。
中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への制裁緩和などを条件に、中国政府が米農産物を購入する方針と一部メディアが報じ、協議進展への期待が相場を押し上げた。
ただ、12日の欧州中央銀行(ECB)理事会を前に持ち高調整の売りも出て、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は3日続落した。
為替市場では米長期金利の上昇とともに1ドル=107円台半ばへ円安が進み、本日の日経平均はNYダウの上昇や円安を好感して74円高からスタート。
前日同様に割安株(バリュー株)への資金シフトから銀行株が大きく値を上げて相場をけん引し、前場の日経平均は21520.65円(128.55円高)まで上昇する場面があった。
東証1部の値上がり銘柄は全体の7割強、対して値下がり銘柄は2割強となっている。
個別では、前述のとおり三菱UFJ (T:8306)や三井住友 (T:8316)、みずほ (T:8411)といったメガバンク株が前日に続き堅調。
他の金融株ではりそなHD (T:8308)や第一生命HDが大きく買われた。
売買代金上位ではソフトバンクG (T:9984)が小幅に上昇し、トヨタ自 (T:7203)やソニー (T:6758)はしっかり。
米アップルが新型「iPhone」を発表し、村田製 (T:6981)などの関連銘柄も堅調だった。
また、ノムラシステム (T:3940)が連日でストップ高を付け、東証1部上昇率トップとなっている。
一方、売買代金トップのリクルートHD (T:6098)や任天堂 (T:7974)、東エレク (T:8035)、ファーストリテ (T:9983)がさえない。
リクルートHDは売出価格決定で買い戻しも入ったが、戻りは限定的だった。
第一三共 (T:4568)は2%超安と前日同様に軟調ぶりが目立つ。
前日に肺がん患者を対象とした抗体薬物複合体の試験データを公表したが、サプライズなしと受け止められたようだ。
また、PI (T:4290)などが東証1部下落率上位に顔を出した。
セクターでは、鉱業、証券、銀行業などが上昇率上位で、その他も全般軟調。
反面、不動産業など4業種が下落した。
過度なリスク回避ムードが和らぐとともに米長期金利の上昇が続き、為替相場の円安進行と日経平均の上昇、出遅れ感のあった割安株(バリュー株)への資金シフトにつながっている。
日経平均は8月1日以来、およそ1カ月ぶりに21500円台を回復。
テクニカル面ではシグナルが好転し、7月高値21823.07円(25日、取引時間中)を意識した動きも出てきそうだ。
銀行株などはかねてファンドが割安修正のタイミングを窺っていたようだが、米長期金利の上昇と地銀再編の思惑をきっかけに急ピッチのリバウンドを見せ、相場のけん引役となっている。
とはいえ、こうした相場のどこまで続くか慎重に見極める必要はありそうだ。
かねて債券相場の過熱感が指摘されていただけに、その修正の面が大きいとみられる。
しかし米中摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱を巡る懸念はくすぶり、来週にかけて相次ぎ開催される日米欧の金融政策決定会合後に材料出尽くし感が広がる可能性もある。
週末の先物・オプション特別清算指数(SQ)算出後の日経平均軟化を警戒する向きもあるようだ。
(小林大純)