[ニューヨーク 8日 ロイター] - 米国の小型株は、バリュー株人気で大幅な上昇が見込まれる一方、景気低迷で急速に上値が消える可能性も指摘されている。
小型株の指標であるラッセル2000指数 (RUT)は、今年の大半はS&P500 (SPX)を下回るパフォーマンスとなっており、昨年12月に確認された弱気相場を抜け出せていない。
それでも第4・四半期に入りラッセル指数は4.6%上昇し、S&P500指数の3.6%を上回る伸びとなっている。ラッセル指数の好調ぶりは、S&P500バリュー指数 (IVX)の5.2%上昇と連動。同時期のS&P500グロース指数 (IGX)の上昇率は2.3%にとどまっている。
景気に対するセンチメントの改善で、投資家の間ではバリュー株と小型株の割安銘柄を見直す動きが広がっている。バリュー株は金融やエネルギーなど景気に敏感なセクターに多い。小型株は大型株より国内重視の銘柄が多く、米経済に対する投資家の見通しを反映する傾向が強い。
景気改善見通しで米国債10年物の利回り (US10YT=RR)は9月の低水準から上昇し、3カ月物 (US3MT=RR)と10年物のイールドカーブはスティープ化した。その結果一部の投資家の間では、小型株の上昇を予想する声が広がっている。
特に金融株のパフォーマンスは向上著しく、小型株の押し上げにつながる公算が大きい。金融株はラッセル2000の20%を占めており、S&P500の13%より比率が大きい。
ホッジズ・キャピタル・マネジメントのシニア・バイス・プレジデント兼ポートフォリオマネジャーのゲリー・ブラッドショー氏は「金利上昇は景気上向きを意味する。大型株に比べ出遅れ感のあった小型株のキャッチアップは確実だ」と述べた。
同氏によると、ホッジズは過去数カ月で石油・天然ガスのマタドール・リソーシズ (N:MTDR)、パースリー・エナジー (N:PE)、チリのレストランを保有するブリンカー・インターナショナル (N:EAT)のポジションを積み増した。
大型のバリュー株が今後も相場の主導権を握ることに懐疑的な見方がある一方、小型株は業績改善を足掛かりに株価押し上げが見込まれている。
RBCキャピタル・マーケッツの米株戦略部門の責任者、ロリ・カルバシナ氏によると、今年は通常と異なり小型株の利益の伸びが大型株に遅れる時期があった。ただその後は小型株の利益の伸びは改善している。
同氏は「長期的に利益の伸びが大きいとの見方で小型株が好まれている。年初の状況では当てはまらないが、今は通常のパターンが戻りつつある」と指摘した。
依然として小型株の見通しは経済指標に大きく左右される状況にあるが、現在示唆しているのは景気減速だ。10月の米供給管理協会(ISM)の製造業指数は景気拡大・縮小の節目となる50を3カ月連続で下回った。米中通商合意は製造業の統計押し上げに寄与する見込みだが、依然として部分的だ。
ジェフリーズの株式ストラテジスト、スティーブン・デサンクティス氏は「通商協議で合意できなければ、景気減速を示す兆候が増えれば小型株は急落するだろうが、景気は持ちこたえるとみている」と述べた。
(April Joyner記者)