[ニューヨーク 3日 ロイター] - 米国株式市場は値動きの荒い展開となる中、大幅下落して取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)が50ベーシスポイント(bp)の緊急利下げを実施したことを受け、新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響の大きさが一層意識された。
主要株価3指数は、FRBの利下げ後に3%近く下落して引けた。
緊急利下げは、世界的な金融危機に見舞われた2008年以来。市場では今月下旬に予定されていた連邦公開市場委員会(FOMC)で50bpの利下げが完全に織り込まれていたが、2週間前倒しで対応した形となり、世界的に感染が拡大する新型ウイルスを巡るFRBの懸念を浮き彫りにした。[nL4N2AW3Z7]
米株市場は一時1%超上昇する場面もあったものの、新型ウイルスの感染拡大によって事業活動や消費行動が抑制される中、利下げではこうした中核的な問題に対応できないのではとの懸念が広がった。
ケニーズ・コメンタリー・アンド・ストラテジック・ボードソリューションズの創業者、ピーター・ケニー氏は「利下げは世界経済が直面している問題の大きさを浮き彫りにした」と指摘。「通常なら市場は利下げを歓迎するし、利下げを望んでいた。利下げが実施された今、問題は次は何かということだ」と語った。
リスク回避の動きから米債券市場では、指標10年債利回り (US10YT=RR)が1%を下回り、過去最低を更新した。[nL4N2AW4BO]
S&P総合500種 (SPX)の主要11セクターはすべて下落。金融株指数 (SPSY)は3.7%安。利下げを受けて業績を巡る懸念が高まった。情報技術株指数 (SPLRCT)は3.8%安。アップル (O:AAPL)とマイクロソフト (O:MSFT)はそれぞれ3.2%、4.8%値下がりした。
S&P総合500種は2月19日に付けた終値ベースの最高値を約11%下回る水準となった。
医療・科学機器を手掛けるサーモ・フィッシャー・サイエンティフィック (N:TMO)は1.8%上昇。同社は、ドイツに上場する遺伝子検査会社キアゲン (DE:QIA)を買収することで合意した。[nL4N2AW4D8]
マスクメーカーのアルファ・プロ・テック (A:APT)は20%近く急伸した。
ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.67対1の比率で上回った。ナスダックでは2.45対1で値下がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は147億株と、直近20営業日の平均98億株を大幅に上回った。
*内容を追加しました。
終値 前日比 % 始値 高値 安値 コード
ダウ工業株30種 25917.41 -785.91 -2.94 26762.47 27084.59 25706.28 (DJI)
前営業日終値 26703.32
ナスダック総合 8684.09 -268.08 -2.99 8965.10 9070.32 8602.89 (IXIC)
前営業日終値 8952.17
S&P総合500種 3003.37 -86.86 -2.81 3096.46 3136.72 2976.63 (SPX)
前営業日終値 3090.23
ダウ輸送株20種 9200.67 -275.01 -2.90 (DJT)
ダウ公共株15種 877.25 -9.27 -1.05 (DJU)
フィラデルフィア半導体 1705.26 -60.12 -3.41 (SOX)
VIX指数 36.94 +3.52 +10.53 (VIX)
S&P一般消費財 925.78 -22.00 -2.32 (SPLRCD)
S&P素材 341.78 -2.60 -0.75 (SPLRCM)
S&P工業 619.97 -15.43 -2.43 (SPLRCI)
S&P主要消費財 619.62 -8.22 -1.31 (SPLRCS)
S&P金融 444.92 -17.24 -3.73 (SPSY)
S&P不動産 238.96 -0.25 -0.10 <.SPLRCR>
S&Pエネルギー 342.64 -11.04 -3.12 (SPNY)
S&Pヘルスケア 1098.88 -28.69 -2.54 (SPXHC)
S&P通信サービス 171.49 -5.90 -3.33 (SPLRCL)
S&P情報技術 1575.48 -62.13 -3.79 (SPLRCT)
S&P公益事業 328.38 -3.87 -1.16 (SPLRCU)
NYSE出来高 18.24億株 <.AD.N>
シカゴ日経先物3月限 ドル建て 20890 - 90 大阪比 <0#NK:>
シカゴ日経先物3月限 円建て 20880 - 100 大阪比 <0#NIY:>