[9日 ロイター] - 中国株式市場は大幅続落して引けた。新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響が引き続き懸念されているほか、原油価格の急落も嫌気された。
ただ、中国本土での新型ウイルス感染者が減っていることや、中国当局が新たな景気支援策を打ち出すことへの期待を背景に、世界の他の市場に比べると下げ幅は限られた。
1─2月の中国の輸出が大きく落ち込むなど経済指標の悪化も、中国当局による追加の景気てこ入れ策への期待を高める結果となっている。
ベアリングズの大中華圏投資の責任者は「A株市場は依然として国内要因で動いている。国内投資家は最悪期は過ぎ去ったと感じており、政府が財政・金融政策を緩和して国内経済の回復を助けると期待している」と語った。
香港株式市場も大幅続落。新型ウイルスの感染拡大による影響への警戒感に、原油価格の急落が追い討ちをかけ、ハンセン指数、H株指数ともに2018年2月以来の大幅な下落率となった。
全面安の展開となり、とりわけエネルギー指数 (HSCIE)が10.9%急落して2008年終盤以来の大幅安を記録した。
ソウル株式市場は大幅続落。新型コロナウイルスの経済への打撃が警戒されているところに原油相場の急落も加わり、投資家の間に安全資産選好が広がった。
総合株価指数(KOSPI)の下落率は2018年10月以来の大きさ。
海外勢の売り越し規模は10年11月以来の大きさに膨らんだ。
サムスン証券のアナリストはきょうの株価指数の動きについて、原油相場の急落と欧米でのウイルス感染の拡大によって警戒感が高まり、海外勢のろうばい売りが出たことを示したと分析した。
この日、北朝鮮は短距離弾道ミサイルとみられる複数の飛翔(ひしょう)体を日本海に向けて発射したものの、相場への影響はほとんどなかった。
主力銘柄のサムスン電子 (KS:005930)とSKハイニックス (KS:000660)は、それぞれ4.1%安、6.2%安。取引された904銘柄のうち、上昇は33銘柄にとどまった。
シドニー株式市場は急落。新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済に及ぼす打撃が警戒されるとともに、原油先物相場の落ち込みが不安を増大させたことから、売り一色となった。
S&P/ASX200指数は約1年ぶりの安値で引け、1350億豪ドル(約882億5000万ドル)の時価総額が吹き飛んだ。下落率は世界金融危機のさなかにあった2008年10月以来の大きさ。
アルゴノートの株式取引担当エグゼクティブ・ディレクター、ジェームズ・マクグルー氏は「(株価下落を)食い止めるものは現時点で何もなく、総崩れの状態だ。きょうは警戒感が何にもまして相場の原動力になっている」と分析した。
エネルギー株指数 (AXEJ)は20%安と、サブ指数の中で下落率が最大。原油先物が約30%下落したことに反応した。ウッドサイド・ペトロリアム (AX:WPL)とサントス (AX:STO)はそれぞれ18.4%安、27%安。
金融株指数 (AXFJ)は7.6%安。四大銀行が大幅に下げた。最大手コモンウェルス銀行(CBA) (AX:CBA)は6.5%安と、11営業日続落。業界2位のウエストパック銀行 (AX:WBC)は8.6%安と、11年11月以来の安値。
鉱業株指数 (AXMM)は9.8%安と、下落率が08年11月以来の大きさ。世界的大手のBHPグループ (AX:BHP)とリオ・ティント (AX:RIO)はそれぞれ14.4%、6.4%下げた。
IT株指数 (AXIJ)は9%安。ソフトウエア大手ゼロ (AX:XRO)は5%安、決済サービスのアフターペイ (AX:APT)は16.1%安で終了した。
*内容を追加しました。
(リフィニティブデータに基づく値です。前日比が一致しない場合があります) OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20200309T092149+0000