[東京 15日 ロイター] - SBIホールディングス(HD)の北尾吉孝社長は、暗号資産分野で海外企業と合弁会社設立に向けた協議を進めていると明らかにした。暗号資産事業を収益の柱に成長させるため、今後は少額出資ではなく大型の買収案件を視野に入れる考えも併せて示した。ロイターとのインタビューで述べた。
暗号資産市場は、今年1月の時価総額が1年前の約5倍となる1兆ドル(約105兆円)に急拡大した。米電気自動車大手のテスラが今月、ビットコインへ15億ドル投資したことを明らかにしたことで、改めて注目を集めた。
北尾社長は「昔は株がダメなら債券に投資するという世界だったが、今は必ずしもそういう二者択一ではない」と話す。大手機関投資家だけではなく、テスラの参入にも触れ、暗号資産の投資先としての魅力が増しているとの認識を示した。
SBIHDは、暗号資産を発行する米リップルに出資しているほか、昨年12月にはマーケットメーカー業者の英B2C2の株式90%を取得した。
暗号資産での拡大戦略を続ける中、海外企業との間で合弁会社を設立するための協議も進めている。北尾社長は、相手先企業などの詳細は控えたが、年内の合意が見込めそうな案件もあると話した。
今後のM&A(合併・買収)戦略については「ナンバーワンの会社を買ったり、グローバルなアライアンスを主要どころと結んだりする」ことを主軸に置く。多くの企業に少額出資する方法ではなく、大型買収にも意欲を示した格好だ。
SBIHDの暗号資産取引所事業は、20年4─12月期の税引き前利益が66億円と前年同期から83%増加している。
(新田裕貴 梅川崇)