[ワシントン 28日 ロイター] - オースティン米国防長官は28日、アフガニスタンからの駐留米軍撤収を巡り、上院軍事委員会の公聴会で証言し、アフガン政府軍の崩壊に不意を突かれたとし、アフガン兵士の士気低下や腐敗問題など、誤算があったと認めた。
オースティン長官は、米国などが訓練したアフガン軍が戦わずに「崩壊してしまったことに驚いた」と述べた。
米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長も証言に臨んだ。タリバンが8月に権力を掌握して以降、オースティン氏とミリー氏が議会で証言するのは初めて。
ミリー氏は、アフガンを制圧したイスラム主義組織タリバンの進撃の速度は想定していなかったと述べた。同時に、条件を設けず米軍撤収を加速すればアフガン政府と政府軍の崩壊を招く恐れがあると、米軍が2020年終盤から警告していたとも強調した。
オースティン長官は、米国人らの国外退避を支援した米軍兵士らの活躍を称賛。しかし、カブールの空港周辺で発生した自爆攻撃による米軍関係者の死亡や米無人機による攻撃でアフガン民間人10人が死亡したことなどを念頭に、「無論、作戦が完璧だったというわけではない」と述べた。
またミリー氏は、国際武装組織アルカイダとの関係を断絶していないタリバンは引き続き「テロ組織」とみなされると述べた。さらに、アフガンで再結成したアルカイダが早ければ1年以内にも米国に攻撃を仕掛ける「非常に現実的な可能性」があると警告した。
共和党のアーンスト上院議員は、トランプ前大統領の無条件撤退というタリバンとの合意を維持したバイデン大統領の決定を「安い政治的勝利」のために米国の犠牲を無駄にしたと批判した。
上院軍事委トップのインホフ議員(共和党)は「大統領自身が作り出した恐怖」と表現した。
ホワイトハウスのサキ報道官は、バイデン氏の軍事専門家はアフガンについて「様々な視点」を提供したと述べ、バイデン氏はアフガンに軍を残すことは「タリバンとの戦争を意味する」と考えていたと語った。
ブリンケン米国務長官も13日、下院外交委員会の公聴会で証言し、アフガンからの米軍撤収の正当性を主張。しかし、共和党議員の少なくとも1人がブリンケン氏に対し引責辞任を迫った。