執筆:Yasin Ebrahim
Investing.com -- ロシアとウクライナの緊張が続いているものの、FRB議事録の発表で今後の積極的な利上げへの懸念が和らいだことで、水曜日のS&P 500種指数は日中に反転し、下げ幅を縮小して横ばいで終了した。
S&P500は0.1%上昇、ダウ平均は0.16%(5ポイント)下落、ナスダック総合は0.1%下落となった。
米連邦準備制度理事会(FRB)は、金利を引き上げ、バランス・シートの規模を「大幅な」縮小を今年後半から開始することに同意していることが、水曜日に発表された1月のFOMC議事録で明らかになった。
またこの議事録では、インフレのペースが落ちない場合にのみ利上げの加速を支持するとの見解も示され、FRBの積極的な行動への予想がやや後退した。しかし,、この議事録は好調な労働市場と数十年来の高水準を維持するインフレを示す最近の経済指標の発表に先行する内容であり、(最新の状況を反映してものではないため)やや陳腐なものとなっている。
米国2年債利回りは、FRBの利上げ予想に敏感に反応し、やや低下した。
Penn Capital社の株式部門最高投資責任者、Eric Green氏は水曜日、Investing.comに対し、「議事録発表後に市場がポジティブな反応を示したのは、市場を冷え込ませるようなネガティブな内容がなかったからだ」と指摘した。「他のFRB高官がよりタカ派的であるとか、FRBが方向転換しているというような内容は、議事録には何もなかった。」
FOMC議事録は、新たな地政学的緊張を相殺し、株価のセンチメントを押し上げるものとなった。
Antony Blinken米国務長官は、ウクライナとの国境からロシア軍が「意味ある撤退」をした兆候はないと述べた。ロシアが火曜日にウクライナとの国境から軍の一部を撤退させたと主張していたが、ウクライナとロシアの緊張が緩和されることへの期待が薄れた。
米国の小売売上高が予想を上回る3.8%増と、3月以来の高いペースで伸びたことから、材料、産業、エネルギーなどの景気循環セクターが反発して上昇を牽引した。
Alphabet (NASDAQ:GOOGL)のGoogleがアンドロイド搭載のスマートフォンでの広告トラッキングを制限すると発表し、ソーシャル・メディア株が圧力を受けたものの、ハイテク株は値下がりから反発した。
今月初め、Appleのプライバシー変更によりユーザー数の伸びが鈍化したことを発表していたMeta Platforms (NASDAQ:FB)は2%以上の下落で引けた。 同様にSnap (NYSE:SNAP)とTwitter (NYSE:TWTR)も2%以上の下落で引けた。
NVIDIA (NASDAQ:NVDA)は、Jaguar Land Rover社との自動運転システム構築の提携を発表し、下落幅を縮小して横ばいで引けた。
キャッシュ・フローを実際に得るまでに長期の期間を要するハイテク株やグロース株では、今後も逆風が吹くと思われる。
債券と同じように、キャッシュ・フローの実現までに長期間を要するこれらの(割高な)グロース株の現在価値は、金利上昇環境では低くなる」 とGreen氏は述べている。
「金融、エネルギー、素材、産業など、よりバリュー株が、一部のグロース株よりもはるかに良いパフォーマンスを示すサイクルにある」と同氏は付け加えた。