■今後の見通し
2. 2022年12月期の業績見通し
アイ・エス・ビー (T:9702)の2022年12月期の連結業績は、売上高で前期比7.0%増の28,000百万円、営業利益で同10.7%増の2,070百万円、経常利益で同9.8%増の2,130百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同11.7%増の1,240百万円と増収増益が続く見通しだ。
営業体制の強化や技術者の採用・育成に注力し、引き合いが旺盛なDX関連のプライム案件を中心に売上高を伸ばしていく。
費用面では、人件費や人材採用・育成費の増加が見込まれる一方で、のれん償却額が減少するほか、前期に発生した不採算案件のマイナス影響がなくなる。
増収効果に加えてグループ連携による売上原価率の低減も引き続き見込まれることから、売上高営業利益率は前期の7.1%から7.4%とさらに上昇する見通しだ。
ただ、第2四半期累計業績は売上高で前年同期比5.1%増となるものの、営業利益は同12.9%減と落ち込む見通しとなっている。
これは、半導体不足の影響もあって前年同期に駆け込み需要が発生したセキュリティシステム事業の収益が一時的に落ち込むことに加えて、グループ会社の事業規模拡大に向けて採用費や広告費を増やす計画となっているためだ。
リスク要因としては、半導体不足の影響が挙げられる。
セキュリティシステム事業だけでなく、サーバ・ネットワーク構築業務においても、サーバやネットワーク機器の供給に制限を受けるようなことになれば、構築業務ができないため売上面で影響が出ることになる。
会社計画では下期には半導体不足も解消する前提となっているが、半導体不足が長引くようであれば収益にも影響を与える可能性がある。
なお、グループ全体の2022年春の新卒採用者数は2021年よりもやや増加する。
同社では中途採用も含めて引き続き人員の採用・育成に注力していく計画となっており、グループ全体の従業員数も2021年12月期末の2,190名(2020年12月期末比106名増)からさらに増加する見込みだ。
ソリューション分野別の売上見通しでは、モビリティソリューションとプロダクトソリューションの減収見込みをビジネスインダストリーソリューションとエンタープライズソリューションの増収でカバーする計画となっている。
(1) 「モビリティソリューション」
「モビリティソリューション」分野は前期比4.1%減の4,737百万円を見込む。
5G関連は伸び率こそ鈍化するものの拡大基調が続くほか、車載についてもEV関連や自動運転関連等の新規受注獲得により増収を見込んでいる。
にもかかわらず減収計画となっているのは、日系スマートフォンメーカーやコンテンツ・アプリなどの開発案件が市場縮小により落ち込むと見ているためだ。
受注減で影響を受ける技術者については、他の開発業務にシフトしていく予定にしている。
(2) 「ビジネスインダストリーソリューション」
「ビジネスインダストリーソリューション」分野は前期22.1%増の10,904百万円と高成長を見込む。
組込みではIoT関連のシステム開発や、家電・映像機器向けシステム開発の受注獲得により増収を見込んでいる。
一方、業務システムについても需要が旺盛なDX関連を中心に、プライム案件の受注獲得に注力し2ケタ成長を計画している。
(3) 「エンタープライズソリューション」
「エンタープライズソリューション」分野は前期比4.5%増の8,095百万円を見込む。
システム開発では金融系の継続案件の受注確保を図るとともに、公共系では競争入札などに参入し、中央省庁や独立行政法人からの受注獲得に注力し、増収を見込む。
一方、インフラ構築分野については半導体不足によりサーバ・ネットワーク構築業務の一部案件が後ろ倒しとなる可能性があるものの、通期では前期並みの受注確保を見込んでいる。
(4) 「プロダクトソリューション」
「プロダクトソリューション」分野は前期比6.6%減の4,262百万円と減収に転じる見通し。
セキュリティシステム事業については半導体不足により入退室管理システムの売上減少が響く。
同社では2021年12月より個室ワークブースの販売を開始するなど、その他の部材調達の影響を受けにくい製品販売に注力することで落ち込み幅を最小限に食い止めたい考えだ。
一方、MDM事業については2022年4月からの自社販売体制の開始と機能拡充を進めることで増収を目指す。
また、L-Share事業についてもコロナ禍で事業環境は引き続き厳しいものの、営業活動の強化と前期引き合い分を受注していくことで増収を計画している。
3. サステナビリティ経営の取り組み
同社は事業活動を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的な成長を目指すサステナビリティ経営を推進している。
ESGの観点から取り組み事例を見ると、E(環境)については、電力やOA用紙などの使用量削減やデータセンターのエネルギー効率化に取り組むことで、温室効果ガスの削減に貢献している。
また、S(社会)については、事業活動を通じた社会課題解決に取り組んでいるほか、働き方改革や多様な人材の採用と活躍支援により、従業員エンゲージメントの向上並びに多様性の推進に取り組んでいる。
G(ガバナンス)に関しては、情報セキュリティの強化やコンプライアンスの徹底、コーポレート・ガバナンス体制の強化による企業統治・透明性の向上に取り組んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
2. 2022年12月期の業績見通し
アイ・エス・ビー (T:9702)の2022年12月期の連結業績は、売上高で前期比7.0%増の28,000百万円、営業利益で同10.7%増の2,070百万円、経常利益で同9.8%増の2,130百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同11.7%増の1,240百万円と増収増益が続く見通しだ。
営業体制の強化や技術者の採用・育成に注力し、引き合いが旺盛なDX関連のプライム案件を中心に売上高を伸ばしていく。
費用面では、人件費や人材採用・育成費の増加が見込まれる一方で、のれん償却額が減少するほか、前期に発生した不採算案件のマイナス影響がなくなる。
増収効果に加えてグループ連携による売上原価率の低減も引き続き見込まれることから、売上高営業利益率は前期の7.1%から7.4%とさらに上昇する見通しだ。
ただ、第2四半期累計業績は売上高で前年同期比5.1%増となるものの、営業利益は同12.9%減と落ち込む見通しとなっている。
これは、半導体不足の影響もあって前年同期に駆け込み需要が発生したセキュリティシステム事業の収益が一時的に落ち込むことに加えて、グループ会社の事業規模拡大に向けて採用費や広告費を増やす計画となっているためだ。
リスク要因としては、半導体不足の影響が挙げられる。
セキュリティシステム事業だけでなく、サーバ・ネットワーク構築業務においても、サーバやネットワーク機器の供給に制限を受けるようなことになれば、構築業務ができないため売上面で影響が出ることになる。
会社計画では下期には半導体不足も解消する前提となっているが、半導体不足が長引くようであれば収益にも影響を与える可能性がある。
なお、グループ全体の2022年春の新卒採用者数は2021年よりもやや増加する。
同社では中途採用も含めて引き続き人員の採用・育成に注力していく計画となっており、グループ全体の従業員数も2021年12月期末の2,190名(2020年12月期末比106名増)からさらに増加する見込みだ。
ソリューション分野別の売上見通しでは、モビリティソリューションとプロダクトソリューションの減収見込みをビジネスインダストリーソリューションとエンタープライズソリューションの増収でカバーする計画となっている。
(1) 「モビリティソリューション」
「モビリティソリューション」分野は前期比4.1%減の4,737百万円を見込む。
5G関連は伸び率こそ鈍化するものの拡大基調が続くほか、車載についてもEV関連や自動運転関連等の新規受注獲得により増収を見込んでいる。
にもかかわらず減収計画となっているのは、日系スマートフォンメーカーやコンテンツ・アプリなどの開発案件が市場縮小により落ち込むと見ているためだ。
受注減で影響を受ける技術者については、他の開発業務にシフトしていく予定にしている。
(2) 「ビジネスインダストリーソリューション」
「ビジネスインダストリーソリューション」分野は前期22.1%増の10,904百万円と高成長を見込む。
組込みではIoT関連のシステム開発や、家電・映像機器向けシステム開発の受注獲得により増収を見込んでいる。
一方、業務システムについても需要が旺盛なDX関連を中心に、プライム案件の受注獲得に注力し2ケタ成長を計画している。
(3) 「エンタープライズソリューション」
「エンタープライズソリューション」分野は前期比4.5%増の8,095百万円を見込む。
システム開発では金融系の継続案件の受注確保を図るとともに、公共系では競争入札などに参入し、中央省庁や独立行政法人からの受注獲得に注力し、増収を見込む。
一方、インフラ構築分野については半導体不足によりサーバ・ネットワーク構築業務の一部案件が後ろ倒しとなる可能性があるものの、通期では前期並みの受注確保を見込んでいる。
(4) 「プロダクトソリューション」
「プロダクトソリューション」分野は前期比6.6%減の4,262百万円と減収に転じる見通し。
セキュリティシステム事業については半導体不足により入退室管理システムの売上減少が響く。
同社では2021年12月より個室ワークブースの販売を開始するなど、その他の部材調達の影響を受けにくい製品販売に注力することで落ち込み幅を最小限に食い止めたい考えだ。
一方、MDM事業については2022年4月からの自社販売体制の開始と機能拡充を進めることで増収を目指す。
また、L-Share事業についてもコロナ禍で事業環境は引き続き厳しいものの、営業活動の強化と前期引き合い分を受注していくことで増収を計画している。
3. サステナビリティ経営の取り組み
同社は事業活動を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的な成長を目指すサステナビリティ経営を推進している。
ESGの観点から取り組み事例を見ると、E(環境)については、電力やOA用紙などの使用量削減やデータセンターのエネルギー効率化に取り組むことで、温室効果ガスの削減に貢献している。
また、S(社会)については、事業活動を通じた社会課題解決に取り組んでいるほか、働き方改革や多様な人材の採用と活躍支援により、従業員エンゲージメントの向上並びに多様性の推進に取り組んでいる。
G(ガバナンス)に関しては、情報セキュリティの強化やコンプライアンスの徹底、コーポレート・ガバナンス体制の強化による企業統治・透明性の向上に取り組んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)