[ニューヨーク 31日 ロイター] - 11月3日から始まる週の米国株式市場では、4日投開票の中間選挙が最大の材料になりそうだ。特に上院選での激戦州の結果如何で、年末に向けて典型的な中間選挙後の上昇局面に入るか、あるいは市場の混乱が再燃するか決まる可能性がある。 市場は、共和党が予想通り上院で多数派を占めるか、民主党がわずかな差で多数派を維持するか、どちらの結果がでてもあまり懸念を抱いていない。それよりも重要なのは、混乱無く5日の朝に結果が出ることだ。 ニューエッジUSA(ニューヨーク)の市場戦略ディレクター、ロバート・バン・バテンブルグ氏は「上院が同数で割れて候補者が再集計を求めるといった不透明な状況になれば、非常に良くない」とみている。 激戦州、特に南部のルイジアナとジョージアでは世論調査で大接戦が予想されている。両州では50%以上得票した候補者がいなければ上位2候補による決選投票となるため、どちらの党が上院を制するか決まるのが数週間ずれ込む恐れもある。ルイジアナの決選投票は12月6日、ジョージアは1月6日だ。どちらが多数党かそれまで決まらないというのが、市場にとって最悪のシナリオだろう。 可能性としては小さいものの、2000年の大統領選挙でのブッシュ対ゴアの例を思い出してしまう。あの時は選挙後1カ月以上過ぎてやっとブッシュ氏の勝利が確定した。投票日から、12月に行われた選挙人投票で結果が確定するまでの間、CBOEのVIX指数 .VIX は約11.2%上昇し、S&P500指数 .SPX は7.6%下落した。 「今回はこれほど劇的な展開にはならないだろうが、すでに米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和策が終了した後でもあり、何らかのリスクが生じれば株式の波乱要因になり得る」(前出のバン・バテンブルグ氏)という。
米国株式市場は10月初めの混乱の後、ここ2週間は回復基調にある。S&P500は10月15日から8%以上上昇。VIX指数は約45%低下した。 4日の中間選挙で明確な結果が出れば、市場は年末に向けて一段高の展開が予想される。 歴史的に、中間選挙後の相場は強含む。バークレイズによれば、1928年以降、中間選挙後90日のS&P500のリターン中央値は7%、プラスのリターンが得られる確率は86%だという。 また、歴史的に小型株に有利で、1990年以降、ラッセル2000 .TOY は選挙日から年末までの間に平均4.89%上昇している。同期間のS&P500は3.2%上昇、ダウ平均は2.28%上昇している。 しかし、株式トレーダー年鑑によれば、あらゆる年においてラッセル2000は年末の2カ月で4.6%上昇、S&Pは3.2%上昇しており、このトレンドに近いものとも言える。
バークレイズでは、共和党が上院を制する確率を64─90%と予測している。しかし、いずれの党も、拒否権を覆したりフィリバスター(議事妨害)を阻止できるだけの十分な多数派になることは難しそうで、市場にとってはどちらが多数党になったところでそれほど重大な意味は持ちそうにない。 「新たな構図が、株式市場の方向性に影響するような大きな変化を目先もたらす可能性は低い。選挙結果が予想外で、民主党が上院多数党を維持することになっても、市場の反応は抑えられたものになるだろう」とバークレイズは書いている。 ただ、共和党主導の法案と関連が強いエネルギー株や医療機器セクターで、大きな動きがあるかもしれない。共和党は医療機器課税に反対の立場で、キーストーンパイプライン・プロジェクトを支持している。 フィデュシアリー・トラスト(ボストン)の投資責任者、マイケル・ムラニー氏は「上院多数党の行方が不透明になった場合、ストライカー SYK.N やメドトロニック MDT.N などの医療機器メーカーに下方圧力がかかるかもしれない」と述べた。