[18日 ロイター] - 米アップルに対してアイオワ州の信用組合が18日、サンフランシスコの連邦地裁に決済カード発行業者としての集団訴訟を起こした。アップルがモバイル端末市場における優越的地位を乱用し、他社の電子決済サービスで用意されたウォレットとの公正な競争を妨げたと主張している。
訴状によると、アップルは同社のスマートフォンやスマートウオッチ、タブレットを持つ消費者に電子決済システム「アップルペイ」を通じた非接触型決済時の「アップルウォレット」利用を強制した。アンドロイド型端末は、グーグルペイやサムスンペイなどが提供するウォレットを選ばせている。またこうしたアップルの競争妨害行為により、4000余りの銀行と信用組合はアップルペイ経由の取引を無理強いされ、年間で少なくとも10億ドルもの余計な手数料を支払わされた、というのが原告の言い分だ。
アップルペイ経由のクレジットカード取引手数料率は0.15%、デビットカード取引手数料は一律0.005ドルだが、競争相手の決済サービスなら手数料はゼロだという。
さらに原告側は、こうした状況にあぐらをかいたアップルがアップルペイの機能改善やセキュリティー強化に取り組む意欲を非常に低下させたと指摘。「カード発行者だけでなく、消費者と競争にも弊害を与えている」と述べ、具体的には明らかにしなかった被害額の3倍の補償と、一連の反競争行為の停止を要求した。
アップルはコメント要請に回答していない。
欧州連合(EU)は5月2日、アップルがアップルペイの技術を巡って優越的地位を乱用する反競争行為があったとの暫定見解を表明。同行為が正式に認定されれば、アップルは世界売上高の最大10%の制裁金支払いを命じられる可能性がある。