[シドニー 27日 ロイター] - 男子テニスのノバク・ジョコビッチ(セルビア)は27日、四大大会初戦の全豪オープンで父スルジャン氏がロシア国旗を掲げるファンと写る動画が撮影されていたことに関し、「悪用された」と父を擁護した。
スルジャン氏は、25日に行われたロシア出身アンドレイ・ルブレフとジョコビッチによる準々決勝で「不適切な旗とシンボル」を持ったファン4人と一緒にポーズを取る動画が撮影された。この動画はSNSで広がり、大会主催者は選手と関係者に向けて注意喚起をするなどの事態となった。
スルジャン氏はその後の声明で、メルボルンへは息子の応援のために行っただけだと述べ、「私は家から見ることを決めた。今夜(27日)の息子や他の選手の準決勝で混乱が起きることはない」と、現地観戦を取りやめたことを発表していた。
トミー・ポール(米国)との準決勝をストレートで制したジョコビッチは、記者団に対し「父は通りすがりに写真を撮ったのだが、それが大きく取り上げられてしまった。父はこの人たちに状況を悪用された」と述べ、「父のせいではないので責めることはできない。たくさんのセルビア国旗があったので、父は誰かセルビア人と写真を撮ったと思っていた」と父を擁護。
さらに「その後、父は申し訳ないという気持ちになった。私にメディアからプレッシャーがかかることも分かっていた。全てはこの24時間か48時間で起きたことだ」とし、「父が(会場に)いなくて残念だった。父にいてほしい」と続けた。
ジョコビッチは「私の父も家族も、私自身も1990年代にいくつかの戦争を経験している。私たちは戦争に反対しているし、どんな暴力も戦争も支持しない。戦時下にあるどの国の家族、人々にとっても、それがどれほどひどいものかを私たちは知っている」とも語った。