*12:12JST 日経平均は3日続落、FRBハト派化期待は徐々に剥落
日経平均は3日続落。
126.60円安の27479.86円(出来高概算4億8437万株)で前場の取引を終えている。
8日の米株式市場でダウ平均は207.68ドル安(-0.60%)と反落。
経済状況が予想よりも強いことを理由に、米連邦準備制度理事会(FRB)高官が相次いでインフレ制御のための追加利上げの必要性を主張したため、金利高を警戒した売りが先行、そのまま終日軟調に推移した。
ナスダック総合指数は-1.67%と反落。
米株安を引き継いで日経平均は153.06円安からスタートすると、取引開始直後27424.69円(181.77円安)まで下げ幅を拡大。
ただ、為替の円高進行が一服している中、27500円を意識した押し目買いも入り、その後は同水準を挟んだ一進一退が続いた。
個別では、米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の下落を受けて東エレク (TYO:8035)、アドバンテスト (TYO:6857)、ディスコ (TYO:6146)などが大きく下落。
米ナスダック指数の下落により、イビデン (TYO:4062)、太陽誘電 (TYO:6976)、TDK (TYO:6762)、ファナック (TYO:6954)などのハイテク株のほか、エムスリー (TYO:2413)、Sansan (TYO:4443)などのグロース株も軟調。
前日に決算が好感されたメルカリ (TYO:4385)は大幅反落で上昇分を吐き出した。
決算発表を延期したツバキ・ナカシマ (TYO:6464)のほか、業績・配当予想を上方修正も出尽くし感が先行したハピネット (TYO:7552)、今期増益見通しも出尽くし感が強まったサンアスタリスク (TYO:4053)などが急落。
業績下方修正と減配を発表した武蔵精密 (TYO:7220)も大幅安となっている。
一方、業績・配当予想を上方修正した芝浦 (TYO:6590)が急伸。
住友鉱 (TYO:5713)も業績上方修正と増配を発表して大幅高。
ほか、好決算を材料にクラレ (TYO:3405)、DMG森精機 (TYO:6141)、ユニ・チャーム (TYO:8113)が大きく上昇。
AGC (TYO:5201)は冴えない決算ながらも高水準の自社株買いが好感されて大幅高。
堅調決算と株式分割を発表した第一興商 (TYO:7458)、業績上方修正と増配を発表したファルコHD (TYO:4671)、好決算が材料視された今仙電機 (TYO:7266)なども急伸し、東証プライム市場の値上がり率上位に入っている。
セクターでは電気・ガス、電気機器、陸運が下落率上位となった一方、繊維製品、卸売、ガラス・土石が上昇率上位となった。
東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の49%、対して値上がり銘柄は46%となっている。
一昨日の米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁に続き、前日もFRB高官からタカ派発言が相次いだ。
FRBのウォラー理事は「インフレとの戦いは長引きそうで、政策金利は現在の一部の予想よりも一層高い水準に一段と長くとどまる可能性がある」との見解を示した。
また、クックFRB理事も「利上げはまだ終わっていない。
政策金利を十分に景気抑制的な水準に維持する必要がある」と発言。
特に印象的だったのは米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言で、同氏は
「インフレを確実に2%に回帰させるためには、十分に景気抑制的な政策スタンスを数年間維持する必要があるだろう」とコメント。
その上で、現在の政策金利の誘導目標レンジ4.50-4.75%については、「かろうじて景気抑制的な」領域に入っているに過ぎないとの考えを示した。
これは、あと1-2回の利上げで打ち止めになると考えている市場に対して、暗にその予想を超える利上げ継続があり得ることを示唆していると捉えられる。
一方、フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込むターミナルレート(政策金利の最終到達点)は5.13%と、複数の高官のタカ派発言前の時点からほぼ変わっていない。
また、今年末の政策金利水準の予想も4.80%とこちらにも変化はない。
先週まで0.25ポイントの利下げが2回あると予想していた状況に比べれば、現在の利下げ期待は1回程度にとどまっており、過度な期待は後退してきているもよう。
しかし、いまだに年内利下げ期待は残っている。
米株式市場も前日は反落となったものの、年始からの上昇基調を踏まえれば、小幅な調整に過ぎない。
しかし、今後、年内の残りの利上げ回数が3回以上になることなどを本気で織り込みにいく展開になれば、株式市場には調整余地が残されているといえる。
来週14日に発表される米1月消費者物価指数(CPI)でインフレ鈍化の一服などが示唆されると、そうした動きが強まる恐れがあろう。
S&P500種株価指数の予想株価収益率(PER)も19.4倍と、昨年4月以来の水準にまで上昇してきており、業績予想が切り下がってきている中、これ以上の株価バリュエーションの上昇を通じた株高には持続性に疑問符が付こう。
目先は、調整局面入りになる可能性に留意しておきたい。
(仲村幸浩)
126.60円安の27479.86円(出来高概算4億8437万株)で前場の取引を終えている。
8日の米株式市場でダウ平均は207.68ドル安(-0.60%)と反落。
経済状況が予想よりも強いことを理由に、米連邦準備制度理事会(FRB)高官が相次いでインフレ制御のための追加利上げの必要性を主張したため、金利高を警戒した売りが先行、そのまま終日軟調に推移した。
ナスダック総合指数は-1.67%と反落。
米株安を引き継いで日経平均は153.06円安からスタートすると、取引開始直後27424.69円(181.77円安)まで下げ幅を拡大。
ただ、為替の円高進行が一服している中、27500円を意識した押し目買いも入り、その後は同水準を挟んだ一進一退が続いた。
個別では、米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の下落を受けて東エレク (TYO:8035)、アドバンテスト (TYO:6857)、ディスコ (TYO:6146)などが大きく下落。
米ナスダック指数の下落により、イビデン (TYO:4062)、太陽誘電 (TYO:6976)、TDK (TYO:6762)、ファナック (TYO:6954)などのハイテク株のほか、エムスリー (TYO:2413)、Sansan (TYO:4443)などのグロース株も軟調。
前日に決算が好感されたメルカリ (TYO:4385)は大幅反落で上昇分を吐き出した。
決算発表を延期したツバキ・ナカシマ (TYO:6464)のほか、業績・配当予想を上方修正も出尽くし感が先行したハピネット (TYO:7552)、今期増益見通しも出尽くし感が強まったサンアスタリスク (TYO:4053)などが急落。
業績下方修正と減配を発表した武蔵精密 (TYO:7220)も大幅安となっている。
一方、業績・配当予想を上方修正した芝浦 (TYO:6590)が急伸。
住友鉱 (TYO:5713)も業績上方修正と増配を発表して大幅高。
ほか、好決算を材料にクラレ (TYO:3405)、DMG森精機 (TYO:6141)、ユニ・チャーム (TYO:8113)が大きく上昇。
AGC (TYO:5201)は冴えない決算ながらも高水準の自社株買いが好感されて大幅高。
堅調決算と株式分割を発表した第一興商 (TYO:7458)、業績上方修正と増配を発表したファルコHD (TYO:4671)、好決算が材料視された今仙電機 (TYO:7266)なども急伸し、東証プライム市場の値上がり率上位に入っている。
セクターでは電気・ガス、電気機器、陸運が下落率上位となった一方、繊維製品、卸売、ガラス・土石が上昇率上位となった。
東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の49%、対して値上がり銘柄は46%となっている。
一昨日の米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁に続き、前日もFRB高官からタカ派発言が相次いだ。
FRBのウォラー理事は「インフレとの戦いは長引きそうで、政策金利は現在の一部の予想よりも一層高い水準に一段と長くとどまる可能性がある」との見解を示した。
また、クックFRB理事も「利上げはまだ終わっていない。
政策金利を十分に景気抑制的な水準に維持する必要がある」と発言。
特に印象的だったのは米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言で、同氏は
「インフレを確実に2%に回帰させるためには、十分に景気抑制的な政策スタンスを数年間維持する必要があるだろう」とコメント。
その上で、現在の政策金利の誘導目標レンジ4.50-4.75%については、「かろうじて景気抑制的な」領域に入っているに過ぎないとの考えを示した。
これは、あと1-2回の利上げで打ち止めになると考えている市場に対して、暗にその予想を超える利上げ継続があり得ることを示唆していると捉えられる。
一方、フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込むターミナルレート(政策金利の最終到達点)は5.13%と、複数の高官のタカ派発言前の時点からほぼ変わっていない。
また、今年末の政策金利水準の予想も4.80%とこちらにも変化はない。
先週まで0.25ポイントの利下げが2回あると予想していた状況に比べれば、現在の利下げ期待は1回程度にとどまっており、過度な期待は後退してきているもよう。
しかし、いまだに年内利下げ期待は残っている。
米株式市場も前日は反落となったものの、年始からの上昇基調を踏まえれば、小幅な調整に過ぎない。
しかし、今後、年内の残りの利上げ回数が3回以上になることなどを本気で織り込みにいく展開になれば、株式市場には調整余地が残されているといえる。
来週14日に発表される米1月消費者物価指数(CPI)でインフレ鈍化の一服などが示唆されると、そうした動きが強まる恐れがあろう。
S&P500種株価指数の予想株価収益率(PER)も19.4倍と、昨年4月以来の水準にまで上昇してきており、業績予想が切り下がってきている中、これ以上の株価バリュエーションの上昇を通じた株高には持続性に疑問符が付こう。
目先は、調整局面入りになる可能性に留意しておきたい。
(仲村幸浩)