*12:11JST 日経平均は大幅に5日続落、米長期金利の上昇はいつまで続くか
日経平均は大幅に5日続落。
603.05円安の30634.89円(出来高概算9億1489万株)
で前場の取引を終えている。
3日の米株式市場でダウ平均は430.97ドル安(-1.28%)、ナスダック総合指数は-1.86%と大幅に下落。
8月JOLTS求人件数が予想に反して増加に転じたことで長期金利が急伸しリスク回避の売りが広がった。
また、つなぎ予算を成立させ政府機関閉鎖回避にこぎつけたマッカーシー下院議長が共和党内の保守強硬派からの反発で解任されたことも先行き不透明感を強めた。
米国株の急落を受けて日経平均は472.91円安からスタート。
時間外取引の米10年債利回りが一段と上昇するなかリスク回避の売りが膨らみ、前場中ごろには30581.61円(656.33円安)まで下落。
その後は下げ止まったが、買い戻しは鈍く安値圏での底這いが続いた。
個別では、米国時間に一時急速に円高・ドル安が進むなど神経質な動きが見られた為替動向の影響もあり、マツダ (TYO:7261)や三菱自 (TYO:7211)などの輸送用機器セクターが前日に続き急落。
丸紅 (TYO:8002)、神戸製鋼所 (TYO:5406)、フジクラ (TYO:5803)、三菱重工業<
7011>、東京電力HD (TYO:9501)など景気敏感やバリュー(割安)系のセクター・銘柄も総じて大幅に続落。
日米長期金利の上昇にもかかわらず三菱UFJ (TYO:8306)などの銀行株も急落。
大型株は軒並み売られていて、アドバンテスト (TYO:6857)や東エレク (TYO:8035)の半導体株も大きく下落している。
一方、オリンパス (TYO:7733)やテルモ (TYO:4543)の精密機器、エムスリー (TYO:2413)やストライク (TYO:6196)、M&Aキャピ (TYO:6080)のグロース(成長)株の一角が上昇。
好決算を手掛かりにクスリのアオキ (TYO:3549)は急伸。
好業績の観測報道が伝わったオービック (TYO:4684)
や前日の決算説明会で過度な警戒感が後退したネクステージ (TYO:3186)も上昇。
東証スタンダードでは、電気自動車を走行中に給電する技術の開発に取り組んでいることを発表したカーメイト (TYO:7297)がストップ高まで買われた。
セクターでは輸送用機器、電気・ガス、卸売を筆頭にほぼ全面安となっている一方、精密機器のみが上昇している。
東証プライム市場の値下がり銘柄が全体の89%、対して値上がり銘柄は9%となっている。
米長期金利の上昇が止まらず、株式市場ではリスク回避の動きが強まっている。
米10年債利回りは3日、4.8%台に到達し、連日で2007年以来の高値を更新している。
4日現在、時間外取引では4.82%まで上昇してきている。
米労働省の8月雇用動態調査(JOLTS)の求人件数が上方修正された前月分から小幅ながら減少するとの予想に反し、大幅に増加したことが米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げ観測を高めた。
日本の10年債利回りも連日で0.780%と約10年ぶりの水準で推移している。
一方、東京株式市場では前日と同様、景気敏感・バリュー(割安)株の方がハイテク・グロース(成長)株より下落率の大きいことが目立っている。
セオリー通りであれば、長期金利の上昇は株価バリュエーションが高く、金利に対する感応度の高いグロース株の方により大きなネガティブな影響をもたらす。
しかし、10-12月期に入ったことで、機関投資家は前四半期(7-9月期)に株価パフォーマンスの良かったバリュー株に利益確定売りを出すなど持ち高調整を進めているもよう。
対して、前四半期に株価パフォーマンスの冴えなかったグロース株についてはこうした影響が小さく、これが金利上昇下でのセオリーに反した物色動向につながっているようだ。
歯止めのかからない米長期金利の上昇は株式市場にとってネガティブな材料でしかないが、グロース株の金利上昇に対する底堅さが見られている点はポジティブに捉えられる。
米10年債利回りの動向については予断を許さないが、これまでの上昇ペースが非常に速かったことで、次の大台となる5%が近づいてきたこともあり、目先は騰勢が一服となる可能性もある。
米商品先物取引委員会(CFTC)によると、投機筋は米10年債に対するポジションについて2021年後半以降、徐々に売り持ち高を増やしてきて、今年5月以降は過去10年を振り返る限り最大の売り持ち状況が続いている。
投機筋が債券の売り持ち高を積み増す余地が少なくなっていると推察されるなか、今後は買い戻しによる債券価格の上昇(金利の低下)も予想される。
今晩の米9月ADP雇用リポートでは雇用者数の伸びが15万人と前月(17万7000人)
から減少が予想されている。
米8月JOLTS求人件数の予想外の上振れにより予断を許さない状況とはいえ、事前に警戒感がかなり高まっている分、予想通りに前月からの減少となれば、目先の安心感から株式の短期的な買い戻しが誘発されそうだ。
仮に米ADPの雇用者数も予想に反して前月から増加した場合には、もう一段の金利上昇・株価下落のリスク回避の展開が起こり得る。
ただ、そうしたネガティブなシナリオが実現した場合には、週末の米雇用統計に対する警戒感は一段と高まる分、株式のさらなる下落余地は短期的には限られてくると考えられ、短期トレードのリスクリワードには妙味が出てこよう。
他方、つなぎ予算を成立させ米政府機関閉鎖回避にこぎつけたマッカーシー下院議長が共和党内の保守強硬派からの反発で解任されるなど、米政治情勢は混迷の様相を深めてきている。
この問題については先行きをなかなか予想しづらく、引き続き株式市場のリスク要因としてくすぶる。
(仲村幸浩)
603.05円安の30634.89円(出来高概算9億1489万株)
で前場の取引を終えている。
3日の米株式市場でダウ平均は430.97ドル安(-1.28%)、ナスダック総合指数は-1.86%と大幅に下落。
8月JOLTS求人件数が予想に反して増加に転じたことで長期金利が急伸しリスク回避の売りが広がった。
また、つなぎ予算を成立させ政府機関閉鎖回避にこぎつけたマッカーシー下院議長が共和党内の保守強硬派からの反発で解任されたことも先行き不透明感を強めた。
米国株の急落を受けて日経平均は472.91円安からスタート。
時間外取引の米10年債利回りが一段と上昇するなかリスク回避の売りが膨らみ、前場中ごろには30581.61円(656.33円安)まで下落。
その後は下げ止まったが、買い戻しは鈍く安値圏での底這いが続いた。
個別では、米国時間に一時急速に円高・ドル安が進むなど神経質な動きが見られた為替動向の影響もあり、マツダ (TYO:7261)や三菱自 (TYO:7211)などの輸送用機器セクターが前日に続き急落。
丸紅 (TYO:8002)、神戸製鋼所 (TYO:5406)、フジクラ (TYO:5803)、三菱重工業<
7011>、東京電力HD (TYO:9501)など景気敏感やバリュー(割安)系のセクター・銘柄も総じて大幅に続落。
日米長期金利の上昇にもかかわらず三菱UFJ (TYO:8306)などの銀行株も急落。
大型株は軒並み売られていて、アドバンテスト (TYO:6857)や東エレク (TYO:8035)の半導体株も大きく下落している。
一方、オリンパス (TYO:7733)やテルモ (TYO:4543)の精密機器、エムスリー (TYO:2413)やストライク (TYO:6196)、M&Aキャピ (TYO:6080)のグロース(成長)株の一角が上昇。
好決算を手掛かりにクスリのアオキ (TYO:3549)は急伸。
好業績の観測報道が伝わったオービック (TYO:4684)
や前日の決算説明会で過度な警戒感が後退したネクステージ (TYO:3186)も上昇。
東証スタンダードでは、電気自動車を走行中に給電する技術の開発に取り組んでいることを発表したカーメイト (TYO:7297)がストップ高まで買われた。
セクターでは輸送用機器、電気・ガス、卸売を筆頭にほぼ全面安となっている一方、精密機器のみが上昇している。
東証プライム市場の値下がり銘柄が全体の89%、対して値上がり銘柄は9%となっている。
米長期金利の上昇が止まらず、株式市場ではリスク回避の動きが強まっている。
米10年債利回りは3日、4.8%台に到達し、連日で2007年以来の高値を更新している。
4日現在、時間外取引では4.82%まで上昇してきている。
米労働省の8月雇用動態調査(JOLTS)の求人件数が上方修正された前月分から小幅ながら減少するとの予想に反し、大幅に増加したことが米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げ観測を高めた。
日本の10年債利回りも連日で0.780%と約10年ぶりの水準で推移している。
一方、東京株式市場では前日と同様、景気敏感・バリュー(割安)株の方がハイテク・グロース(成長)株より下落率の大きいことが目立っている。
セオリー通りであれば、長期金利の上昇は株価バリュエーションが高く、金利に対する感応度の高いグロース株の方により大きなネガティブな影響をもたらす。
しかし、10-12月期に入ったことで、機関投資家は前四半期(7-9月期)に株価パフォーマンスの良かったバリュー株に利益確定売りを出すなど持ち高調整を進めているもよう。
対して、前四半期に株価パフォーマンスの冴えなかったグロース株についてはこうした影響が小さく、これが金利上昇下でのセオリーに反した物色動向につながっているようだ。
歯止めのかからない米長期金利の上昇は株式市場にとってネガティブな材料でしかないが、グロース株の金利上昇に対する底堅さが見られている点はポジティブに捉えられる。
米10年債利回りの動向については予断を許さないが、これまでの上昇ペースが非常に速かったことで、次の大台となる5%が近づいてきたこともあり、目先は騰勢が一服となる可能性もある。
米商品先物取引委員会(CFTC)によると、投機筋は米10年債に対するポジションについて2021年後半以降、徐々に売り持ち高を増やしてきて、今年5月以降は過去10年を振り返る限り最大の売り持ち状況が続いている。
投機筋が債券の売り持ち高を積み増す余地が少なくなっていると推察されるなか、今後は買い戻しによる債券価格の上昇(金利の低下)も予想される。
今晩の米9月ADP雇用リポートでは雇用者数の伸びが15万人と前月(17万7000人)
から減少が予想されている。
米8月JOLTS求人件数の予想外の上振れにより予断を許さない状況とはいえ、事前に警戒感がかなり高まっている分、予想通りに前月からの減少となれば、目先の安心感から株式の短期的な買い戻しが誘発されそうだ。
仮に米ADPの雇用者数も予想に反して前月から増加した場合には、もう一段の金利上昇・株価下落のリスク回避の展開が起こり得る。
ただ、そうしたネガティブなシナリオが実現した場合には、週末の米雇用統計に対する警戒感は一段と高まる分、株式のさらなる下落余地は短期的には限られてくると考えられ、短期トレードのリスクリワードには妙味が出てこよう。
他方、つなぎ予算を成立させ米政府機関閉鎖回避にこぎつけたマッカーシー下院議長が共和党内の保守強硬派からの反発で解任されるなど、米政治情勢は混迷の様相を深めてきている。
この問題については先行きをなかなか予想しづらく、引き続き株式市場のリスク要因としてくすぶる。
(仲村幸浩)