[23日 ロイター] - 米石油大手シェブロンは23日、米同業ヘスを530億ドルで買収すると発表した。買収は全額、株式交換方式で行う。
石油資源が豊富な南米ガイアナで事業を拡大する。ガイアナは、米石油大手エクソンモービル、ヘス、中国海洋石油が大規模な石油鉱床を発見し、近年、主要産油国となった。
シェブロンはヘス株1株に対して171ドル相当を支払う。ヘスの直近終値に約4.9%のプレミアムを乗せた。債務を含む買収総額は600億ドル。
買収完了は来年上半期ごろの予定。ヘスのジョン・ヘス最高経営責任者(CEO)は買収完了後にシェブロンの取締役会に入る。
シェブロンのマイケル・ワース最高経営責任者(CEO)は「独占禁止法上の懸念はない」とし、今回の買収は「エネルギー安全保障にとって素晴らしいことだ」と述べた。
両社によると、統合後の新会社は、シェブロンの現在の5カ年ガイダンスとの比較で、生産とフリーキャッシュフローの伸びが加速・長期化する見通し。
シェブロンのピエール・ブレバー最高財務責任者(CFO)は声明で「予想される長期のキャッシュ創出がより確実になるため、シェブロンは増配ペースと自社株買いの拡大を通じて株主にさらに多くの現金を還元する」と表明した。
ワースCEOによると、買収完了後1年以内のコストシナジーは約10億ドルとなる見込み。
シェブロンは買収完了後、自社株買いプログラムを25億ドル拡大し年間200億ドルの上限まで引き上げる意向という。
エクソンは今月、シェール大手パイオニア・ナチュラル・リソーシズを約600億ドルで買収すると発表。エクソンとシェルは石油分野で急成長しているシェールとガイアナで直接対決することになる。
ワースCEOは「BOE(石油換算バレル)当たりでCEOが多すぎるため、統合は自然なこと」とし、今後も石油業界で買収・合併の動向が続く可能性があるという見通しを示した。
23日午前の取引でシェブロンの株価は約2.4%安、ヘスは約0.7%高で推移した。RBCのアナリストは今回の買収のタイミングに驚いているとし、エクソンによるパイオニア買収を受け、シェブロンが幾分時間をかけると予想していたと述べた。