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アングル:攻める海外勢、守る「白酒」 世界最大・中国蒸留酒市場の勝者は

発行済 2024-03-11 08:27
更新済 2024-03-11 08:36
© Reuters.  若者の間でウイスキーやコニャックへの関心が高まる中国で、世界の大手飲料メーカーは市場拡大を狙っている。その前に立ちはだかるのが、中国を代表する高級酒「白酒」を生産する企

Emma Rumney Casey Hall

[ロンドン/上海 6日 ロイター - 若者の間でウイスキーやコニャックへの関心が高まる中国で、世界の大手飲料メーカーは市場拡大を狙っている。その前に立ちはだかるのが、中国を代表する高級酒「白酒」を生産する企業との競争だ。

英ディアジオ や仏ペルノ・リカールといった西側の飲料メーカーは、かつては中国の高級品市場に注力していた。ただ、生活にゆとりのある若い消費者が増加し飲酒傾向が変化しているため、従来より広い層にアピールできるのではないかと考えている。

ウイスキー「ジョニーウォーカー」の製造元であるディアジオは高級志向の消費者だけでなく、拡大する中間層やミレニアル世代、Z世代をウイスキー販売のターゲットにしているという。

だが同社も他の西側企業と同様、白酒の各メーカーの優位を切り崩すのに苦労している。アルコール度数が高く透明な蒸留酒である白酒は中国を代表する酒だが、こちらも若い消費者向けの新製品を展開しつつある。

ディアジオで大中華圏担当マネージングディレクターを務めるアチュル・チャパルワル氏によると、同社は現在、短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の中国版「抖音(ドウイン)」などのサービス上でオンラインショップを展開。12月には地元企業と提携して自社製品を1時間以内に届ける宅配サービスを開始したという。

ディアジオグループではすでに中国41都市で、自社ウイスキーの専門店10店と専用コーナーを展開し、さらなる拡大を目指す。

チャパルワル氏は「成長の余地は非常に大きい」と語る。中国では自宅での酒類消費が増えており、ウイスキー専門のバーや酒販店も増加しているという。

ボストン・コンサルティング・グループでは、中国消費者のミドルクラス・富裕層は2022―30年にかけて8000万人増加し、総人口の40%近くに達すると推測している。

中国の蒸留酒市場は世界最大規模だが、西側製品のシェアは3%前後にとどまっている。

調査会社ユーロモニターによれば、白酒の市場規模は2023年の時点で約1670億ドル(24兆7000億円)。ウイスキーの28億ドルに比べて圧倒的に大きい。中国ではコニャックの歴史の方が長いが、それでも90億ドル強に過ぎない。

ユーロモニターでは、中国市場において今後数年で最も急速に成長する蒸留酒はスコッチなどの含むウイスキーで、2023―26年に88%の大幅増を予想する。だがアナリストらによれば、若者の間での需要は今のところニッチと呼べる程度で、5つ星のホテルや欧米風のレストランに限定されているという。

<ナイトクラブ向けコニャック、白酒ラテも>

ペルノ・リカールは、中国でウイスキー事業、コニャック事業双方を成長させたいとしている。中国担当マネージングディレクターを務めるジェローム・コタンビゾンヌ氏は、同社製品を購入する経済力のある消費者は増えており、若い世代は選択肢の増加を望んでいると語る。

昨年9月、ペルノは中国市場で「マーテル・ノーブリッジ・フラム」を発売した。クラブや音楽フェスティバルといった場を想定し、若い世代の愛好者をターゲットとしたコニャックだ。

中国では伝統的に食事中や祝宴の席でアルコール飲料を消費しており、宴会や接待、選択式ギフトでは白酒が定番となっている。

白酒の価格は、銘柄によってボトル1本1ドルから数百ドルまでとさまざまだが、有名な高級銘柄の大半では売り上げが伸び悩んでいる。メーカーはもっとバラエティー豊かな飲料を求める声に対応するため、新たな路線の開拓を迫られている。

白酒のトップ銘柄で、アルコール飲料として世界で最も珍重される「茅台(マオタイ)酒」のボトル価格は約3000元(416.78ドル)。販売元の貴州茅台酒は2023年度に17.2%の増収を見込んでいるが、顧客層の高齢化に伴い、より若い世代にアピールする方法を探り始めている。

9月、貴州茅台酒は国内首位のカフェチェーン大手、瑞幸咖啡(ラッキンコーヒー)と組んで白酒ラテを発売。白酒を使ったチョコレートやアイスクリームを試験的に投入し、ソーシャルメディアで大きな話題を呼んだ。

白酒ラテの価格は38元で、ラッキンコーヒーでは初日に540万杯が売れた。

ツィクー・コンサルタンシーのゼネラルマネジャーで酒造産業アナリストを務めるケイ・スーフェイ氏によれば、中国の飲料メーカーは若い世代の消費者の需要に応えるため、白酒以外の蒸留酒の提供にも力を入れつつあるという。

輸入蒸留酒を中心とする酒販企業ゴサム・イーストの共同創業者であるダニエル・テイツリン氏は、こうした国内メーカーの優位があるため、これまでのところ、西側企業による市場シェア拡大の努力はあまり実を結んでいないと語る。

<増えるカクテルパーティー>

テイツリン氏によれば、国際的に流通する蒸留酒のうち中国で最も人気のあるコニャックでさえ、白酒文化がさほど優勢ではない南部の広東省など富裕な地域に住む裕福な愛好者の間で何とか人気を獲得したに過ぎない。

ディアジオは過去10年以上にわたり、白酒メーカーである四川水井坊の株式保有を増やしてきたが、他方で現地新興企業によるウイスキー市場参入も見られる。

そのうちの1つである久溪酒業(ナイン・リバーズ・ディスティラリー)のジェイ・ロバートソン最高経営責任者(CEO)は、中国では飲酒と食事を切り離し、より欧米風の飲み方にシフトする動きがあり、ウイスキーにとって追い風になっていると指摘する。

久溪酒業では南西部の福建省に建設中のものを含め、国内数十カ所に蒸留所を展開する予定。「ジョニーウォーカー」の最も低価格の製品に匹敵する1本100元という低価格から、高級志向の製品まで提供していく計画だ。

国産品志向の強さが国内メーカーに有利に働く可能性はあるが、海外ブランドもその不利を回避しようと努めている。

ペルノ・リカールは現在、昨年12月に開設した中国国内の蒸留所で製造するピュアモルト「畳川(チュアン)」を販売している。ディアジオも今年、中国国内に蒸留所を設ける予定だ。

中国市場でわずかな変化が起きるだけでも、西側企業にとっての見返りは十分だ。

上海で働くIT専門家のボブ・ホンさん(43)がウイスキーを飲むようになったのは最近のことだ。このところ増えつつある外国式のカクテルパーティーではウイスキーが提供され、上等な白酒に比べて手頃な価格になりつつあるという。

「中国でも(海外の蒸留酒が)もっと手に入るようになれば、選ぶ人も増えるだろう」とホンさんは話した。

(翻訳:エァクレーレン)

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