Suzanne McGee
[1日 ロイター] - 今年第1・四半期の上場投資信託(ETF)セクターは、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン現物ETFの登場や、人工知能(AI)関連投資への注目度があまりにも高かったため、他のトレンドが霞んでしまった。しかしアナリストによると、その中の幾つかは年内を通じて持続する公算が大きい。
以下に具体的な動きを記した。
◎日本
日経平均株価(225種)が1989年以降で初めて最高値を更新するとともに、投資家は日本投資専門のETFに殺到している。第1・四半期最後の数日にそうしたETFに流れ込んだのは33億ドルと、昨年全体(62億ドル)の半分以上に達したことが、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのデータで確認できる。その約3分の1に当たる9億9600万ドルは、ウィズダムツリー・ジャパン・ヘッジド・エクイティ・ファンドに流入した。為替ヘッジをしている同ファンドは、円が34年ぶりの安値に沈む中で特に投資家とトレーダーの双方に魅力となった。
◎米株けん引役の変化
ステート・ストリートのデータからは、米国株のけん引役が一握りの超大型銘柄、いわゆる「マグニフィセント・セブン」以外にも広がってきた様子が読み取れる。同社のSPDRアメリカズ・リサーチ責任者マシュー・バルトリーニ氏は、第1・四半期全体で見るとハイテク株に投資するETFへ90億ドルが流れ込んだが、3月に限ると流入額は5億ドルにとどまったと指摘。対照的にエネルギーのETFには12億ドル、工業のETFには10億ドル、不動産のETFには20億ドルが流入したと述べた。
第1・四半期はバリュー株への投資家の興味が高まったことも分かる、と話すのはハートフォード・ファンズのブライアン・クラウス氏。3月はラッセル1000バリュー株指数が5.25%上昇した半面、ラッセル1000成長株指数の上昇率は2.78%だったという。
◎債券ETFにも関心
米連邦準備理事会(FRB)の利下げ時期が近づく中で、アクティブ運用型債券ETFの資産は拡大が続いている。そうしたETFの中のさまざまな種類に関心が向けられているが、シティグループのETF戦略ディレクター、ドリュー・プティット氏は、社債ETFの価格を押し上げてきた「リスクオン」の循環物色については注意を促した。
◎業界の勢力図
8兆2000億ドルに上る米ETF資産の約75%は引き続き、業界最大手3社のブラックロック、バンガード、ステート・ストリートが保有しているものの、他社も急速に地歩を伸ばしている。トラックインサイトによると、フィデリティの総資産は、ワイズ・オリジン・ビットコイン・ファンドに100億ドルが流入した後で16%増加したほか、バンガードの資産は2倍になった。市場ではインベスコやキャピタル・グループ、ディメンショナル・ファンド・アドバイザーズ、ジャナス・ヘンダーソンも注目を浴び続けている。
◎新たなリスクと戦略
シティグループのプティット氏によると、今のところ投資家は台頭しつつあるリスクよりも、市場全般に対するエクスポージャーを拡大することを重視している。ただ今後数カ月が経過すれば、地政学的な不安や市場のボラティリティーが原因となってリスク警戒感が増大する見通し。これらのリスクがより鮮明になるとともに、投資家はセクターファンドなどより個別的で投資対象を絞ったETFに目を向け始めるだろうという。