Noele Illien
[チューリヒ 11日 ロイター] - スイス政府がシステム上重要な国内大手行に対する監督強化のために資本要件引き上げ方針を盛り込んだ報告書を公表したことを受け、UBSは100億─150億ドルの新たな資本上積みが必要になるかもしれない――。オートノマス・リサーチの銀行アナリスト、シュテファン・シュタルマン氏は11日、こうした見通しを示した。
シュタルマン氏の基本シナリオによると、今後数年でUBSは普通株等Tier1比率(CET1)を200─300ベーシスポイント(bp)高めることが求められ、100億─150億ドルの当該資本を確保しなければならなくなる。これは現在UBSが想定している自社株買いの規模を大きく縮小させかねないという。
また「逆風」シナリオの下では、UBSはCET1を最大700bp高めざるを得なくなる。
シュタルマン氏は、スイス政府が具体的に必要な追加資本の額を明らかにしていないので、こうした試算は推測ベースになっている面があるとくぎを刺した。
報告書は、クレディ・スイスが経営危機に陥ったような事態の再発を防ぐための提言が示されている。ただシュタルマン氏は、規制実行案の取りまとめ時期が来年前半と時間がかかるので、投資家に不透明感をもたらすだけでなく、UBSにとっても中期的な資本計画や株主還元を定める際の不確実性が高まってしまうと指摘した。