*15:51JST ウイングアーク Research Memo(1):2024年2月期は上方修正後の会社計画を上回って着地
■要約
ウイングアーク1st (TYO:4432)は、企業向けにソフトウェア及びクラウドサービスを提供している。
企業の基幹業務を支える帳票・文書管理ソリューションとデータから価値を生み出すデータエンパワーメントソリューションを手掛ける。
2013年9月にMBOにより上場廃止となるも、競争優位性を維持し、将来にわたって安定的かつ持続的に企業価値を向上させるというMBOの目的を達成したと判断し、2021年3月に東京証券取引所(以下、東証)1部に再上場し、2022年4月に東証プライム市場に移行した。
1. 2024年2月期の業績概要
2024年2月期の連結業績は、売上収益は前期比15.2%増の25,752百万円、営業利益も同22.9%増の7,309百万円、EBITDAは同20.0%増の8,597百万円となり、第3四半期発表時(2024年1月)に上方修正した会社計画(売上収益25,400百万円、営業利益7,200百万円、EBITDA8,470百万円)を上回って着地した。
クラウド市場は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)以降の急成長は一服するものの、オンプレミス型からクラウド型へのマイグレーションの流れやクラウドネイティブ化、デジタルビジネスに対する投資の拡大等により高い成長を達成した。
これにより帳票・文書管理ソリューションの売上収益は同14.9%増の16,494百万円、データエンパワーメントソリューションの売上収益は同15.8%増の9,258百万円となった。
なお、EBITDAが同1,434百万円増加したのは、戦略投資を含む販管費の増加分(1,969百万円)を増収分(3,403百万円)で吸収できたためである。
2. 2025年2月期の業績見通し
2025年2月期の会社計画は、売上収益は前期比7.2%増の27,600百万円、営業利益は同9.5%増の8,000百万円、EBITDAは同10.1%増の9,470百万円の見通しである。
帳票・文書管理ソリューションは、デジタル帳票基盤の確立を目指す。
データエンパワーメントソリューションは、ローコード/ノーコード市場といった新市場へ進出を目指す。
事業別では帳票・文書管理ソリューションの売上収益は同10.3%増の18,200百万円、データエンパワーメントソリューションの売上収益は同1.5%増の9,400百万円と両事業ともに安定した成長が続くと見込んでいる。
同社では、2025年2月期の業績予想は市場に対する最低限のコミットメントであるとしており、旺盛な基幹システム需要やクラウドシフトなどDXに関する需要面への強い追い風を背景として、引き続き期初計画を着実に達成したい考えである。
3. 中長期の成長戦略
同社は2022年1月に5ヶ年の「中期経営方針(2023年2月期~2027年2月期)」を発表した。
「企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推し進めるデータプラットフォームの実現」を柱に据え、主にクラウドビジネスでの大きな成長を目指す計画である。
このプラットフォームをベースに、帳票・文書管理ソリューションはデータを流通させ、企業間取引の変革を実現する「企業間DX」、データエンパワーメントソリューションはデータから価値を引き出し、生産性の向上や新しいビジネスの創出に資する「企業内DX」に取り組む方針である。
当該期間中に同社が達成を目指す目標は、「クラウド成長率40%(2022年2月期~2027年2月期平均)」「リカーリング比率75%(2027年2月期)」「クラウド比率40%(2027年2月期)」「EBITDA※120億円(2027年2月期)」としている。
「中期経営方針」2期目の2024年2月期はクラウド成長率が36.4%、リカーリング比率が61.8%、EBITDAが85.9億円であった。
2025年2月期においてはクラウド成長率25.8%、リカーリング比率65.0%、EBITDA94.7億円を目指している。
最終年度に向け着実に実績を積み上げる計画である。
※当初は「調整後EBITDA」としていたが、2024年2月期からは「EBITDA」へ変更。
■Key Points
・ 2024年2月期は前期比15.2%増収及び20.0%増益(EBITDA)、各ソリューションが堅調に推移。
期初計画、第3四半期発表時の上方修正値を上回った
・2025年2月期は増収増益を予想。
「invoiceAgent」をはじめとした新製品の販売増加が期待できる
・ 2022年1月に「中期経営方針」を発表、「企業のDXを推し進めるデータプラットフォームの実現」を柱に、クラウドビジネスでの大きな成長を目指す方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 井上 康)
ウイングアーク1st (TYO:4432)は、企業向けにソフトウェア及びクラウドサービスを提供している。
企業の基幹業務を支える帳票・文書管理ソリューションとデータから価値を生み出すデータエンパワーメントソリューションを手掛ける。
2013年9月にMBOにより上場廃止となるも、競争優位性を維持し、将来にわたって安定的かつ持続的に企業価値を向上させるというMBOの目的を達成したと判断し、2021年3月に東京証券取引所(以下、東証)1部に再上場し、2022年4月に東証プライム市場に移行した。
1. 2024年2月期の業績概要
2024年2月期の連結業績は、売上収益は前期比15.2%増の25,752百万円、営業利益も同22.9%増の7,309百万円、EBITDAは同20.0%増の8,597百万円となり、第3四半期発表時(2024年1月)に上方修正した会社計画(売上収益25,400百万円、営業利益7,200百万円、EBITDA8,470百万円)を上回って着地した。
クラウド市場は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)以降の急成長は一服するものの、オンプレミス型からクラウド型へのマイグレーションの流れやクラウドネイティブ化、デジタルビジネスに対する投資の拡大等により高い成長を達成した。
これにより帳票・文書管理ソリューションの売上収益は同14.9%増の16,494百万円、データエンパワーメントソリューションの売上収益は同15.8%増の9,258百万円となった。
なお、EBITDAが同1,434百万円増加したのは、戦略投資を含む販管費の増加分(1,969百万円)を増収分(3,403百万円)で吸収できたためである。
2. 2025年2月期の業績見通し
2025年2月期の会社計画は、売上収益は前期比7.2%増の27,600百万円、営業利益は同9.5%増の8,000百万円、EBITDAは同10.1%増の9,470百万円の見通しである。
帳票・文書管理ソリューションは、デジタル帳票基盤の確立を目指す。
データエンパワーメントソリューションは、ローコード/ノーコード市場といった新市場へ進出を目指す。
事業別では帳票・文書管理ソリューションの売上収益は同10.3%増の18,200百万円、データエンパワーメントソリューションの売上収益は同1.5%増の9,400百万円と両事業ともに安定した成長が続くと見込んでいる。
同社では、2025年2月期の業績予想は市場に対する最低限のコミットメントであるとしており、旺盛な基幹システム需要やクラウドシフトなどDXに関する需要面への強い追い風を背景として、引き続き期初計画を着実に達成したい考えである。
3. 中長期の成長戦略
同社は2022年1月に5ヶ年の「中期経営方針(2023年2月期~2027年2月期)」を発表した。
「企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推し進めるデータプラットフォームの実現」を柱に据え、主にクラウドビジネスでの大きな成長を目指す計画である。
このプラットフォームをベースに、帳票・文書管理ソリューションはデータを流通させ、企業間取引の変革を実現する「企業間DX」、データエンパワーメントソリューションはデータから価値を引き出し、生産性の向上や新しいビジネスの創出に資する「企業内DX」に取り組む方針である。
当該期間中に同社が達成を目指す目標は、「クラウド成長率40%(2022年2月期~2027年2月期平均)」「リカーリング比率75%(2027年2月期)」「クラウド比率40%(2027年2月期)」「EBITDA※120億円(2027年2月期)」としている。
「中期経営方針」2期目の2024年2月期はクラウド成長率が36.4%、リカーリング比率が61.8%、EBITDAが85.9億円であった。
2025年2月期においてはクラウド成長率25.8%、リカーリング比率65.0%、EBITDA94.7億円を目指している。
最終年度に向け着実に実績を積み上げる計画である。
※当初は「調整後EBITDA」としていたが、2024年2月期からは「EBITDA」へ変更。
■Key Points
・ 2024年2月期は前期比15.2%増収及び20.0%増益(EBITDA)、各ソリューションが堅調に推移。
期初計画、第3四半期発表時の上方修正値を上回った
・2025年2月期は増収増益を予想。
「invoiceAgent」をはじめとした新製品の販売増加が期待できる
・ 2022年1月に「中期経営方針」を発表、「企業のDXを推し進めるデータプラットフォームの実現」を柱に、クラウドビジネスでの大きな成長を目指す方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 井上 康)