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グリムス Research Memo(4):2024年3月期は、過去最高営業利益を更新する好決算

発行済 2024-07-29 13:24
更新済 2024-07-29 13:30
© Reuters.
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*13:24JST グリムス Research Memo(4):2024年3月期は、過去最高営業利益を更新する好決算 ■グリムス (TYO:3150)の業績動向

1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期における経済環境は、雇用・所得環境や企業収益の改善、設備投資の持ち直しなど、景気は緩やかな回復が見られたものの、円安の進行を背景とした物価上昇、個人消費の持ち直しに足踏みが見られるなど、先行き不透明な状況が続いた。
同社グループでは、電力コストの高騰、GX(グリーントランスフォーメーション)の実現に向けた再生可能エネルギーの導入拡大を背景に、事業用太陽光発電システムを成長の主軸として販売を拡大するとともに、電力の小売については、大手電力会社の規制料金改定に伴い低圧電力の新プラン(バリュープラン・シンプルプラン)を導入したほか、低圧電力における独自燃調の運用や、高圧電力における市場価格連動型契約の促進による電力調達価格変動リスクの低減といった取り組みを進めた。
また、安定的な需要があるコスト削減・省エネルギー・再生可能エネルギー関連の商品・サービスについては、事業者向け・一般消費者向けのいずれも受注は好調に推移した。


以上の取り組みから、2024年3月期の連結業績は、売上高29,908百万円(前期比4.7%減)、売上総利益9,257百万円(同23.3%増)、営業利益5,217百万円(同44.9%増)、経常利益5,268百万円(同42.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,540百万円(同43.6%増)と大幅な増益決算であった。
期初計画に対しては、売上高は7.0%下回ったものの、営業利益は20.8%上回って過去最高を更新した好決算で、営業利益率は前期の11.5%から17.4%に大きく上昇した。
売上高が減少したのは、小売電気事業の売上が市場価格(販売単価)の低下により減少した影響である。
利益面では、3事業とも増益であったが、特にエネルギーコストソリューション事業は電力の自家消費を提案する事業用太陽光発電システムの販売が拡大したこと、また小売電気事業もリスクヘッジの徹底等により計画を大きく上回る増益となったことが好業績に寄与した。
小売電気事業では、当初は電力調達価格において保守的に計画を立てていたが、電力市場価格の実勢が計画より大きく低下したことから、売上総利益・営業利益が大幅な増益となった。
第4四半期には小売電気事業の好調さが明確になったため、エネルギーコストソリューション事業とスマートハウスプロジェクト事業のバックオーダー※を翌期に繰り越している。
このような好決算は、同社グループが経済環境の変化に対応して機動的に注力する事業を変えることで、安定的に高い利益を確保できることを示している。


※収益認識未済で、まだ売上計上していない受注残。



2. セグメント別の動向
エネルギーコストソリューション事業では、電力の自家消費を提案する事業用太陽光発電システムを主力商材とし、事業者のコスト削減のための電力基本料金削減コンサルティングやIoT機器、省エネルギー化のための業務用エアコン・トランスなどの各種省エネ設備の販売を推進し、顧客に電力の運用改善・設備改善などの提案をしてきた。
その結果、同事業の売上高は7,734百万円(前期比39.9%増)、セグメント利益は3,030百万円(同45.7%増)となった。
ただ、期初計画比では、売上高は7.5%下回り、セグメント利益も7.2%下回った。
これは、第4四半期には小売電気事業の好業績が明確になったことから、エネルギーコストソリューション事業のバックオーダーを翌期に繰り越したことによる。
セグメント利益は3事業の中で最大であり、事業用太陽光発電システムの販売が拡大したことで生産性が向上したため、セグメント利益率は前期の37.6%から39.2%に上昇して3事業の中で最も利益率が高くなり、同社グループの業績を支える存在となっている。


スマートハウスプロジェクト事業では、脱炭素による再生可能エネルギーへの関心の高まりや、太陽光発電の10年間の固定価格買取制度の適用が終わる卒FIT案件の増加といった市場環境、住宅のエネルギーレジリエンス強化へのニーズにより蓄電池への需要があることから、蓄電池の販売を推進した。
その結果、同事業の売上高は4,440百万円(前期比10.6%増)、セグメント利益は587百万円(同18.3%増)となった。
ただ、期初計画比では、売上高は5.4%下回り、セグメント利益も17.3%下回った。
これは、第4四半期には小売電気事業の好業績が明確になってきたことから、スマートハウスプロジェクト事業のバックオーダーを翌期に繰り越したことによるものだ。
セグメント利益は3事業の中で最も小さいが、催事販売の費用を抑えた効果もあって、セグメント利益率は前期の12.4%から13.3%に上昇している。


小売電気事業では、燃料(LNG)価格や電力需要の落ち着きによる電力市場価格の低下等に伴って、販売単価が低下したことで売上高は減少した。
一方、リスクヘッジ施策の効果に加え電力市場価格の低位安定によって、調達価格が低く抑えられたことから利益が大幅に増加した。
その結果、同事業の売上高は17,733百万円(前期比18.8%減)、セグメント利益は2,267百万円(同25.9%増)となった。
期初計画比では、売上高は7.1%下回り、セグメント利益は137.9%増と大幅に上回った。
売上高は3事業の中で最も大きく、セグメント利益もエネルギーコストソリューション事業に次ぐ大きさである。
セグメント利益率は前期の8.2%から12.8%に改善した。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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