■中期経営計画
(3)海外市場の開拓
ダイキアクシス (T:4245)の海外市場の開拓は、前身のダイキが1991年に中国・大連市に子会社、大連大器環保設備有限公司(現 大器環保工程(大連)有限公司)を設立したことに遡る。
同子会社は、2006年に同社の100%子会社となった。
2002年には、三菱レイヨン {{|0:}}と合弁で大連麗陽環保機器有限公司を設立した。
販売拠点を大連と上海に置き、中国全土をカバーしている。
今後は、東南アジアにおいて事業の拡大を計画している。
2015年末に、「ASEAN(東南アジア諸国連合)経済共同体(AEC)」が発足した。
域内人口は欧州連合(EU)を上回る6億2,000万人、域内総生産は2兆5000億ドルに達する。
シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、ブルネイの6ヶ国では、品目ベースで98%以上の域内関税が撤廃された。
2018年には、自由貿易地域がCLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)へ拡大する予定だ。
2014年のAEC域内貿易額は6,083億ドルと、10年間で2.3倍に増えた。
目下、鉄道や国際幹線道路などの輸送網に関するインフラ整備が進められている。
今後、同社は、インドネシアに生産拠点を有する強みを発揮することになるだろう。
東南アジア諸国は、経済水準の向上による都市化、工業化に伴い、日本がかつて経験した各種環境問題に直面することになる。
排水処理や各種汚染物質の適正処理を規定する法制度の整備や、実効性のある規制の動きが加速する。
公共下水道が普及していないエリアでも、個別処理が可能な浄化槽の潜在需要がある。
未処理のし尿は、コレラ、腸チフス、赤痢などの水系伝染病の感染源となる。
水質汚濁の防止を進めるアジア13ヶ国のパートナーシップ事業である「アジア水環境パートナーシップ(WEPA)」は、し尿処理に関する取り組みを促進した。
しかし、生活雑排水による水環境の汚濁負荷も相当量に上るため、生活排水処理をし尿処理と併せて推進されるべきだという方針が打ち出された。
アジア諸国は、人口増加と経済発展とともに取水量が増加の一途をたどり、排水処理が追いつかず、水質汚濁などの環境汚染に直面している。
インドネシアは、都市や人口密集地域で水質汚濁が深刻な問題になっている。
インドネシアの2013年の人口は、1990年比4割近く増加し約2億5千万人となった。
都市人口の割合は、1990年の31%から2013年に52%へ上昇した。
同期間におけるベトナムの人口は、36%増の8,971万人へ増加し、都市人口比率は20%から32%へ拡大した。
マレーシアは、人口が約5割増の2,972万人へ、都市人口比率は50%から73%へ高まった。
インドネシア政府は、2015年1月にインフラ開発5ヶ年計画をまとめた。
総事業費は、約51兆5千億円になる。
ガソリン補助金の撤廃や燃料補助金を圧縮する一方、インフラ開発投資を拡充する。
投資許可の窓口を集約し、着工までの期間を短縮するなどの投資促進策も打ち出す。
同社がアジア市場でターゲットとしている国は、子会社を置くインドネシアと近隣のベトナム、ミャンマーとマレーシアになる。
ベトナムとマレーシアは、生活排水処理規制の基準が高く、同社技術が使われる浄化槽の市場性を確認している。
同社は、2013年10月にインドネシアのPT.BESTINDO AQUATEK SEJAHTERA(現 PT. DAIKI AXIS INDONESIA)を買収し、連結子会社とした。
東南アジア地域の橋頭堡を獲得した。
その後、同子会社を増資し、2015年にジャカルタ近郊に約6億円を投入して新工場を建設した。
新工場は、生産能力を以前の5倍に拡大し、円筒タイプ・カプセルタイプをそれぞれ年200~250基生産することができる。
同時に、新規生産設備の導入により自動化を進め、日本品質を確立するとともに生産性を向上させた。
製品面では、一年中温暖な東南アジアでは低温時の対策が不要であることから、機能を絞り込んで製造コストを削減した。
合併浄化槽を利用する住居、ビル、工場、商業施設の個別処理システムがターゲットになる。
2015年4月に、東京本社に海外展開を促進する東日本特需事業本部を設置した。
インドネシアの子会社は、現地企業を買収したためローカルな販売チャネルを有する。
東日本特需事業本部は、現地に進出している日系企業への働きかけや日本政府の支援策を活用する。
2015年6月に、インドネシア第2の都市のスラバヤに支店を開設した。
2015年8月に、同社のグループ会社であることを明確にするため、子会社の商号を「PT.DAIKI AXIS INDONESIA」に変更した。
2016年度中に、シンガポールにアジア市場の開拓を本格化させるため統括会社を設置する計画でいる。
日本の環境省は、2013年度より政府の成長戦略の一環として日本企業のアジア水ビジネス市場進出を支援する「アジア水環境改善モデル事業」を実施している。
水質汚濁が深刻化しているアジア諸国の水環境改善に関連した、日本企業による実現可能性調査や現地実証試験の実施等を支援する。
モデル事業を通じて把握した事業化の課題等を、今後の海外ビジネス展開促進のための施策に反映させる。
2014年度に、公益財団法人 日本環境整備教育センター、(株)極東技工コンサルタントと同社の3社が提案した「マレーシアにおける浄化槽整備による生活排水処理事業」(浄化槽モデル)が採択された。
同社は、メーカーとしての役割を担う。
マレーシアでは、急速な都市化に伴い、生活排水による河川の水質汚濁が進行している。
既設のセプティックタンク(腐敗槽)は、汚水のみで生活排水の処理ができない。
同プロジェクトは、日本の技術である汚水・生活排水の両方を処理する浄化槽で老朽化したコミュニティ・セプティックタンク(CST)を更新し、地域の衛生環境及び水環境の改善に貢献するというもの。
日本企業と現地企業が協力し、浄化槽によるCSTの更新ビジネスを展開する。
それと並行して、商用施設を対象とした浄化槽ビジネスも想定している。
浄化槽の単品販売ではなく、このようなメンテナンスやチェック機能を含むパッケージを提供するビジネスモデルが確立できれば、事業展開がスムーズに行えることになるだろう。
2015年7月に、インドネシアの新工場が本格稼働を開始したことから、近隣諸国への輸出実績ができてきた。
今後は、成功モデルを積み上げ、現地の代理店契約を進め、海外事業の飛躍を図る。
海外売上高は、2016年12月期が前期比50.0%増の903百万円、2018年12月期に1,224百万円が計画されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
同子会社は、2006年に同社の100%子会社となった。
2002年には、三菱レイヨン {{|0:}}と合弁で大連麗陽環保機器有限公司を設立した。
販売拠点を大連と上海に置き、中国全土をカバーしている。
今後は、東南アジアにおいて事業の拡大を計画している。
2015年末に、「ASEAN(東南アジア諸国連合)経済共同体(AEC)」が発足した。
域内人口は欧州連合(EU)を上回る6億2,000万人、域内総生産は2兆5000億ドルに達する。
シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、ブルネイの6ヶ国では、品目ベースで98%以上の域内関税が撤廃された。
2018年には、自由貿易地域がCLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)へ拡大する予定だ。
2014年のAEC域内貿易額は6,083億ドルと、10年間で2.3倍に増えた。
目下、鉄道や国際幹線道路などの輸送網に関するインフラ整備が進められている。
今後、同社は、インドネシアに生産拠点を有する強みを発揮することになるだろう。
東南アジア諸国は、経済水準の向上による都市化、工業化に伴い、日本がかつて経験した各種環境問題に直面することになる。
排水処理や各種汚染物質の適正処理を規定する法制度の整備や、実効性のある規制の動きが加速する。
公共下水道が普及していないエリアでも、個別処理が可能な浄化槽の潜在需要がある。
未処理のし尿は、コレラ、腸チフス、赤痢などの水系伝染病の感染源となる。
水質汚濁の防止を進めるアジア13ヶ国のパートナーシップ事業である「アジア水環境パートナーシップ(WEPA)」は、し尿処理に関する取り組みを促進した。
しかし、生活雑排水による水環境の汚濁負荷も相当量に上るため、生活排水処理をし尿処理と併せて推進されるべきだという方針が打ち出された。
アジア諸国は、人口増加と経済発展とともに取水量が増加の一途をたどり、排水処理が追いつかず、水質汚濁などの環境汚染に直面している。
インドネシアは、都市や人口密集地域で水質汚濁が深刻な問題になっている。
インドネシアの2013年の人口は、1990年比4割近く増加し約2億5千万人となった。
都市人口の割合は、1990年の31%から2013年に52%へ上昇した。
同期間におけるベトナムの人口は、36%増の8,971万人へ増加し、都市人口比率は20%から32%へ拡大した。
マレーシアは、人口が約5割増の2,972万人へ、都市人口比率は50%から73%へ高まった。
インドネシア政府は、2015年1月にインフラ開発5ヶ年計画をまとめた。
総事業費は、約51兆5千億円になる。
ガソリン補助金の撤廃や燃料補助金を圧縮する一方、インフラ開発投資を拡充する。
投資許可の窓口を集約し、着工までの期間を短縮するなどの投資促進策も打ち出す。
同社がアジア市場でターゲットとしている国は、子会社を置くインドネシアと近隣のベトナム、ミャンマーとマレーシアになる。
ベトナムとマレーシアは、生活排水処理規制の基準が高く、同社技術が使われる浄化槽の市場性を確認している。
同社は、2013年10月にインドネシアのPT.BESTINDO AQUATEK SEJAHTERA(現 PT. DAIKI AXIS INDONESIA)を買収し、連結子会社とした。
東南アジア地域の橋頭堡を獲得した。
その後、同子会社を増資し、2015年にジャカルタ近郊に約6億円を投入して新工場を建設した。
新工場は、生産能力を以前の5倍に拡大し、円筒タイプ・カプセルタイプをそれぞれ年200~250基生産することができる。
同時に、新規生産設備の導入により自動化を進め、日本品質を確立するとともに生産性を向上させた。
製品面では、一年中温暖な東南アジアでは低温時の対策が不要であることから、機能を絞り込んで製造コストを削減した。
合併浄化槽を利用する住居、ビル、工場、商業施設の個別処理システムがターゲットになる。
2015年4月に、東京本社に海外展開を促進する東日本特需事業本部を設置した。
インドネシアの子会社は、現地企業を買収したためローカルな販売チャネルを有する。
東日本特需事業本部は、現地に進出している日系企業への働きかけや日本政府の支援策を活用する。
2015年6月に、インドネシア第2の都市のスラバヤに支店を開設した。
2015年8月に、同社のグループ会社であることを明確にするため、子会社の商号を「PT.DAIKI AXIS INDONESIA」に変更した。
2016年度中に、シンガポールにアジア市場の開拓を本格化させるため統括会社を設置する計画でいる。
日本の環境省は、2013年度より政府の成長戦略の一環として日本企業のアジア水ビジネス市場進出を支援する「アジア水環境改善モデル事業」を実施している。
水質汚濁が深刻化しているアジア諸国の水環境改善に関連した、日本企業による実現可能性調査や現地実証試験の実施等を支援する。
モデル事業を通じて把握した事業化の課題等を、今後の海外ビジネス展開促進のための施策に反映させる。
2014年度に、公益財団法人 日本環境整備教育センター、(株)極東技工コンサルタントと同社の3社が提案した「マレーシアにおける浄化槽整備による生活排水処理事業」(浄化槽モデル)が採択された。
同社は、メーカーとしての役割を担う。
マレーシアでは、急速な都市化に伴い、生活排水による河川の水質汚濁が進行している。
既設のセプティックタンク(腐敗槽)は、汚水のみで生活排水の処理ができない。
同プロジェクトは、日本の技術である汚水・生活排水の両方を処理する浄化槽で老朽化したコミュニティ・セプティックタンク(CST)を更新し、地域の衛生環境及び水環境の改善に貢献するというもの。
日本企業と現地企業が協力し、浄化槽によるCSTの更新ビジネスを展開する。
それと並行して、商用施設を対象とした浄化槽ビジネスも想定している。
浄化槽の単品販売ではなく、このようなメンテナンスやチェック機能を含むパッケージを提供するビジネスモデルが確立できれば、事業展開がスムーズに行えることになるだろう。
2015年7月に、インドネシアの新工場が本格稼働を開始したことから、近隣諸国への輸出実績ができてきた。
今後は、成功モデルを積み上げ、現地の代理店契約を進め、海外事業の飛躍を図る。
海外売上高は、2016年12月期が前期比50.0%増の903百万円、2018年12月期に1,224百万円が計画されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)