ダウは、トルコのリラの下落が世界経済に大きな影響を及ぼす可能性があることを懸念して、金曜日に急落した。
ダウ・ジョーンズ工業平均は約0.77%、 S&P 500は0.71%、 ナスダックは約0.67%とそれぞれ下落した。
米国のドナルド・トランプ大統領が、鉄鋼・アルミニウムに対する関税を引き上げたことで、トルコの債務返済能力に対する投資家の懸念をさらに悪化させ、ドルに対して過去最安値まで下落した。
下落の影響がトルコの国境を越えて広がる恐れがあり、トレーダーらは株式のようなリスクの高い資産から金、円、米国債などの安全な資産へ変換するようになっている。トルコ経済が破綻した場合の大きな影響を投資家が恐れ、 恐怖指数によって測定されたボラティリティは、17%近く上昇した。
ブルーベイ・アセット・マネジメントの上級EMストラテジスト、ティム・アッシュ氏は、「トルコ経済の低迷で影響が大きいのは銀行部門に限られているものの、かなり国際的」だと述べた。国際決済銀行のデータによると、日本の銀行は約140億ドル、英国は約192億ドル、米国は約180億ドルの債務を抱えていることがわかった。
JPモルガン・チェース(NYSE: JPM)は0.98%、ゴールドマン・サックス(NYSE: GS)が1.78%、モルガン・スタンレー(NYSE: MS)が2.12%とそれぞれ下落し、ダウ平均を押し下げた。拡大する米中の貿易戦争への懸念の中で、地政学的不確実性が企業収益をほとんど相殺してしまうことが憂慮されている。
最高執行責任者のDennis Woodside氏が辞任していたというニュースによって、1日前に収益が予想を上回ったことを発表していたにもかかわらずDropbox(NASDAQ: DBX)はほぼ10%下落した。
Overstock.com(NASDAQ: OSTK)は、プライベートエクイティ会社が株式を購入したことを明らかにしたことにより、8%近く上昇した。
石油需要の回復とイラン産原油の市場からの急激な減少により、石油価格が高値に落ち着く中、エネルギー分野は金曜日に損益分岐点を上回る唯一のセクターだった。ニューヨーク商品取引所(NYMEX)で、9月限原油先物は82セント高の1バレル= 67.63ドルとなった。
一方で、消費者物価指数が上昇し、連邦準備制度理事会が今年2回の利上げをするとの見通しが再確認された。消費者物価指数(CPI)は先月0.2%上昇し、コアCPIは2.4%上昇し、エコノミストの予想を上回った。