■会社概要
3. アカデミアとの連携
創薬ベンチャーのラクオリア創薬 (T:4579)にとっては創薬シーズ(医薬品候補化合物のタネ)をどう確保するかは生命線とも言える問題だ。
この点について同社が進める戦略がアカデミア(大学)との産学連携だ。
特に地の利を生かせる名古屋大学との連携に注力している。
同社は2014年4月に名古屋大学環境医学研究所内に産学協同研究部門(「薬効解析部門」)を設置したのを皮切りに、2015年2月に医学系研究科に産学協同研究講座「薬剤科学・分析化学講座」、創薬科学研究科に「新薬創成化学講座」の設置契約を締結し、同年8月には化学研究部が同大学東山キャンパスに移転した。
同社はこれら一連の名古屋大学との産学協同研究の成果を、国内外の製薬会社やバイオベンチャーにライセンスアウトして収益化していく計画だ。
2016年度においては名古屋大学と8つの共同研究を実施したが、特に非アルコール性脂肪肝炎(NASH)治療薬に関する共同研究は注目されているもようだ。
また、新たな研究テーマの学内公募を年3回行っている。
同社の上記の取り組みはまた、経済産業省の「平成27年度 商業・サービス競争力強化連携支援事業」及び愛知県の「平成28年度 新あいち創造研究会開発補助金」に採択へとつながっている。
これらの認定により同社は補助金、政府系金融機関からの低利融資、信用保証の特例等の各種支援策を受けることが可能となっている。
この取り組みに際しては、市場性の調査・マーケティングを担当する(株)シード・プランニングと提携し、事業可能性を高めることに取り組んでいる。
弊社では、同社の産学連携の取り組みは、創薬の面のみならず、様々なシナジー効果を期待できる施策であると考えている。
主目的の創薬については、前述した名古屋大学内の3機関(環境医学研究所、医学系研究科、創薬科学研究科)への設置により、名古屋大学の強みである豊富なターゲットや高レベルの基礎研究力を活用できることになる。
名古屋大学との共同研究による開発が進展して知的ライセンス商品へと成長した場合には、その権利帰属は企業−大学間で柔軟に決めることができる。
さらに名古屋大学では「企業の費用で雇用した研究者が創出した知的財産は企業帰属とできる」と定められているため、企業独自の研究も継続して展開することができる。
他方で、産学協同研究講座の設置に合わせて、同社の研究者は活動拠点を名古屋大学へと移転したが、このことは同社の事業費用における施設関連費の大幅な削減につながっている。
また、大学主催の企業研究セミナーや合同企業説明会への参加、インターンシップ制度の活用等により、将来的には有能な若手人材の採用・育成の面でも効果が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
3. アカデミアとの連携
創薬ベンチャーのラクオリア創薬 (T:4579)にとっては創薬シーズ(医薬品候補化合物のタネ)をどう確保するかは生命線とも言える問題だ。
この点について同社が進める戦略がアカデミア(大学)との産学連携だ。
特に地の利を生かせる名古屋大学との連携に注力している。
同社は2014年4月に名古屋大学環境医学研究所内に産学協同研究部門(「薬効解析部門」)を設置したのを皮切りに、2015年2月に医学系研究科に産学協同研究講座「薬剤科学・分析化学講座」、創薬科学研究科に「新薬創成化学講座」の設置契約を締結し、同年8月には化学研究部が同大学東山キャンパスに移転した。
同社はこれら一連の名古屋大学との産学協同研究の成果を、国内外の製薬会社やバイオベンチャーにライセンスアウトして収益化していく計画だ。
2016年度においては名古屋大学と8つの共同研究を実施したが、特に非アルコール性脂肪肝炎(NASH)治療薬に関する共同研究は注目されているもようだ。
また、新たな研究テーマの学内公募を年3回行っている。
同社の上記の取り組みはまた、経済産業省の「平成27年度 商業・サービス競争力強化連携支援事業」及び愛知県の「平成28年度 新あいち創造研究会開発補助金」に採択へとつながっている。
これらの認定により同社は補助金、政府系金融機関からの低利融資、信用保証の特例等の各種支援策を受けることが可能となっている。
この取り組みに際しては、市場性の調査・マーケティングを担当する(株)シード・プランニングと提携し、事業可能性を高めることに取り組んでいる。
弊社では、同社の産学連携の取り組みは、創薬の面のみならず、様々なシナジー効果を期待できる施策であると考えている。
主目的の創薬については、前述した名古屋大学内の3機関(環境医学研究所、医学系研究科、創薬科学研究科)への設置により、名古屋大学の強みである豊富なターゲットや高レベルの基礎研究力を活用できることになる。
名古屋大学との共同研究による開発が進展して知的ライセンス商品へと成長した場合には、その権利帰属は企業−大学間で柔軟に決めることができる。
さらに名古屋大学では「企業の費用で雇用した研究者が創出した知的財産は企業帰属とできる」と定められているため、企業独自の研究も継続して展開することができる。
他方で、産学協同研究講座の設置に合わせて、同社の研究者は活動拠点を名古屋大学へと移転したが、このことは同社の事業費用における施設関連費の大幅な削減につながっている。
また、大学主催の企業研究セミナーや合同企業説明会への参加、インターンシップ制度の活用等により、将来的には有能な若手人材の採用・育成の面でも効果が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)