[ロイター 27日] - 米航空機大手ボーイングは27日、新型大型機777Xの生産を2023年まで停止すると発表した。認証を巡る問題や、需要低迷によって就航が遅れるため。延期に伴い、15億ドルの追加コストを計上する。
同時に発表した22年第1・四半期決算は赤字となり、株価は約1年半ぶりの安値を付けた。
エージェンシー・パートナーズのアナリスト、ニック・カニンガム氏は顧客向けのノートで「全般的に混乱が続いている」と指摘した。
一方、製造品質の問題で運航が1年近く停止している中型機「787ドリームライナー」の納入再開に向け、米連邦航空局(FAA)に認証計画を提出したと発表。検査と修理は約55億ドルのコストを要した。
納入再開時期には言及しなかった。ロイターは先週、ボーイングが主要な航空会社や部材納入メーカーに対し、今年後半に納入を再開することを伝えたと報じた。
777Xについては、初号機の納入を従来計画の23年終盤から25年に延期すると認めたが、同機に引き続き自信を持っていると表明。
デビッド・カルホーン最高経営責任者(CEO)は「適切に対応するために時間と余裕を確保する必要があった」とアナリストに説明した。
生産停止により在庫や改良が必要な機体を最小限に抑えられる一方で、新たに投入した777Xシリーズの貨物専用機によって貨物輸送能力を高めたと述べた。
ただ、シティ・リサーチのアナリスト、チャールズ・アーミテージ氏は、777Xの納入延期によって航空会社が違約金なしに発注を取り消す恐れがあると述べた。
小型機737MAXの納入を増やし、22年通年でキャッシュフローを黒字化する目標は計画通りに進んでいるとした。
第1・四半期の特別項目を除く1株損失は2.75ドルとなり、前年同期の1.53ドルから拡大。売上高は139億9000万ドルと、前年同期の152億2000万ドルから減った。
大統領専用機「エアフォースワン」の部材価格高騰や技術的問題、訓練用ジェット機に関する物価高、供給制約、新型コロナウイルス禍の影響、ウクライナ戦争や対ロシア制裁の関連として、計12億ドルの経費を計上した。