■各注目事業の戦略
戦略は特に力を入れて取り組む事業ごとにも明確に打ち出されている2016年3月期は新たにBTM事業の拡大が注目される
a)福利厚生事業
売上高を前期比8.5%増の14,060百万円、営業利益を同10.7%増の2,800百万円と見込む
中堅中小企業マーケットの開拓や厚生年金基金の解散後の原資活用先としての売り込みといった従来戦略に加え、新規事業とコラボした新サービスを立ち上げる6月にヘルスケア事業とコラボした健康支援サービス「ケアコース(ストレスチェック特納品付き)、インセンティブ事業とコラボした社員ロイヤリティ向上サービス「ギフトプラン(オリジナルギフトカード付き)」を発売する
同時にBPRの推進による業務効率化とコスト削減をさらに進めるこれにより、オペレーションコストは前期比150百万円の削減が見込まれるという
b)パーソナル事業
売上高を前期比94.7%増の3,658百万円、営業利益を同52.2%増の908百万円と見込む取引先の拡大や深堀、クライアントと協同した顧客満足度の向上といった従来の戦略を継続するほか、「とく放題」が本格的に貢献する
c)インセンティブ事業
売上高を前期比52.9%増の3,004百万円、営業利益を同68.6%増の366百万円と見込む
2014年3月期に引き続きパート・アルバイト向けニーズを発掘するほか、ポイントプログラムの活用によるタックスメリットを享受できる点を訴えて新規契約の獲得を図るまた、利益面では退蔵益の増加が期待できそうである
インセンティブ事業はJTBベネフィットやリロ・ホールディング (TOKYO:8584)子会社のリロクラブなどライバルが新規参入しているが、事業の認知度が高まるとしてむしろ歓迎しており、先行者としてのノウハウを活かすと同時に提供するサービスの仕入力の強化で差別化を進める
d)ヘルスケア事業
売上高を前期比61.3%増の5,000百万円、営業利益を同2.8倍の270百万円と見込む同事業に関しては、既に2014年3月期末時点で相当数の受注が見込めており、達成の確度は高い見込みだ
厚生労働省による企業へのストレスチェックの義務化や保険者へのデータヘルス計画の義務化に伴い、国策に乗ったビジネスを展開するBtoBビジネスの切り口からは、4月に被保険者の健康データを一元管理・可視化する「ハピルス健康ポータル」をスタート、6月には健康維持をした場合にポイントでインセンティブを付与する「成果連動型保健指導サービス」を開始した
BtoCビジネスとしては、4月に一般消費者向けのダイエットプログラム「ハピルスダイエット」をスタートしたこのような特定保健指導に関しては、有識者によるワーキンググループによりメタボ検診が効果を上げているという分結果が出たことから、サービスの質の向上を一層図っていく方針である
医療保険制度が制度疲労を迎える中、日本の健康のあり方については現在見直しが叫ばれている健保等の医療保険者は財政悪化に苦しんでおり、企業は従業員の健康管理に対する責務を求められているこうした状況の中、ヘルスケア事業は今後、「健康経営」と「データヘルス計画」という2つの大きなテーマに沿って事業を展開していく人々の健康増進と医療費削減に向け、最適なプラン(健診・保健指導・ストレスチェック等)を策定するとともに、その施策の継続を促す仕組みとして「健康ポイント」プログラムを健保等に向けて販売していく健保や企業で行われる健康増進の取り組みに対し、独自のポイントプログラムを構築しヘルスリテラシーの向上を図る同サービスは、今後の需要増大が期待できよう
e) BTM事業
売上高を前期比31.4%増の124百万円、営業利益を同約4.2倍の25百万円と見込む金額自体はまだ小さいが、新規事業の新たな柱としての成長が見込まれている
BTM事業は、特に出張旅費に関しては、間接コストの削減やコンプライアンス強化のニーズの高まりから市場拡大が見込まれており、同社としては、このトレンドに乗るという戦略であるまた、出張の年間の市場規模は国内旅行支出の3分の1に当たる6.5兆円と見積もられており、市場規模が大きい点も注力する一因となっている
ベネフィット・ワンでは「交通手配の特定介在旅行会社認定」の強みを活かしたクレジットカード決済型の出張支援サービスを武器に市場を開拓している
さらに、出張専用宿泊施設の開拓を強化することで、利益率の向上も図る方針だ(交通機関に比べ、宿泊施設の方が収益性が高い)
f)その他新規事業
これらの他に、2016年3月期には、2020年の東京オリンピックに向けてインバウンド事業の拡大を目指す台湾を皮切りに、現地旅行代理店でのSIMカード販売やミールクーポンの販売等をスタートさせる
さらに、新たにギフトカード事業をスタートさせたジャックス
と業務提携し、4月からプラスチック型のプリペイドカード「Visaプリペイドカード」を法人向けのギフトカードとして提供する会社や団体の創立記念向けなどに売り込みを図り、2018年3月までに取り扱い金額で3,000百万円を目指す (執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)
と業務提携し、4月からプラスチック型のプリペイドカード「Visaプリペイドカード」を法人向けのギフトカードとして提供する会社や団体の創立記念向けなどに売り込みを図り、2018年3月までに取り扱い金額で3,000百万円を目指す (執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)