石油輸出国機構(OPEC)とロシアが主導する非加盟の主要産油国は10日、オーストリア、ウィーンのOPEC本部で閣僚会合を開き、世界的な協調減産で合意した。
世界的な減産合意は、米国の同時多発テロで相場が崩れた2001年以降15年ぶりとなる。
11月末に開催されたOPEC総会での減産合意に続き、ロシアなど非加盟国も減産で協力していく。
東南アジアの小国ブルネイからイランやイラクといったOPEC大国なども含んだ世界の石油生産国のほぼ6割が減産合意にかかわってくる。
非加盟国全体では日量60万バレル弱の減産で、全体で世界生産の2%近くを削減する方針。
原油市場の需給バランスの改善で、目先原油価格が60ドル近く上昇するとの見方も浮上した。
BPキャピタル・マネジメントの会長兼創立者である石油投資家のT・ブーン・ピケンズ氏も30日以内に原油価格は1バレル60ドルまで上昇すると見ている。
ただ、今後、数多くの諸国の減産が合意通りに実施されるかどうかが問題になってくると、懐疑的見方も少なくない。
こういった市場の懐疑的見方に対して、サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は会合後の記者会見で、「我々は絶対に間違いなく、1月から著しい減産に取り組む」と公約。
「必要とあれば、サウジアラビアは合意以上の減産も除外しない」と、強い自信、断固とした方針を表明した。
2年間にわたる原油価格のスランプをなんとしてでも回復させたい意向。
一部のストラティジストは、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が2012年の欧州債務危機の際、ユーロ崩壊などの警戒感も広がる中、「”whatever it takes”、ユーロを防衛するためにはどんな手段も導入する」と公約した時と同様に強い声明だと指摘している。
OPECとロシアが協力し原油価格を底入れさせることに成功した場合、低水準にとどまっている世界各国のインフレやインフレ期待を押し上げるほか、低迷していた新興諸国経済を支援し、世界経済への警戒感も後退させリスク選好の動きに拍車をかけると見る。
米国のより速やかな利上げにつながる可能性もある。