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JIGーSAW Research Memo(1):需要が旺盛であることから、2022年12月期も2ケタ増収増益を期待

発行済 2022-05-10 08:31
更新済 2022-05-10 08:45
© Reuters.
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■要約

JIG-SAW (TYO:3914)は、データコントロール事業セグメントの下、自動検知・自動制御をコンセプトとする「システムマネジメントサービス」(ブランド名は「JIG-SAW OPS」)と同社独自の基盤コア技術をベースにした「IoT(Internet of Things)向け各種サービス」(同「NEQTO」)を提供している。
また、同社のコア技術を応用したプロジェクトとして、再生医療分野や自動運転・自動操縦分野での取り組みを推進している。


1. 会社概要と強み
同社は、各種物理サーバ・クラウドサーバ・ハイブリッドサーバ・コンテナ、IoTデバイス及び通信チップ・モジュール等を対象としたインターネットサービスのデータコントロールを主力事業としている。
顧客特性の詳細な開示はないが、クラウドオペレーションサービス「JIG-SAW OPS」の導入実績は70業種・1,200件に達し、通信キャリアや放送局、セキュリティ・ソフト会社など、大手企業から中小企業まで幅広くカバーしているようだ。
同社がマネージしている対象数は数万に達していることに加え、月間億単位で発生するアラートを処理しており、圧倒的な経験値を蓄積し続けている。
また、同社独自の組み込みIoTエンジン「NEQTO」については、プロジェクトに参画する基盤製造企業が10数社を数え、様々な分野において利用に向けての検証が行われているほか、2022年中に過去最大規模の検証が行われる予定である。


同社の強みは、コアコンピタンスである「基盤コア技術」の応用と、中長期的な視点でビジネスをデザインできる経営力にある。
具体的には、1) ストック型・継続課金モデルの事業展開、2) 独自の基盤コア技術をベースにするからこその柔軟性・拡張性、3) M&Aを含むパートナー戦略、4) 良好な収益性と財務体質を生かした事業投資戦略などである。


2. 成長戦略
オートセンシング&オートコントロール(Auto Sensing & Auto Control。
以下、A&A)は自動検知及び自動制御という意味、End-to-End(以下、E2E)は“端から端まで”という意味であるが、同社は、この2つをコンセプトとして、あらゆる種類のマネジメントサービスを、クラウドサーバや物理サーバ、IoTデバイス及び通信チップ・モジュールまで、通信・ネットワークの全体(Internet of Everything=IoE市場)を対象に提供していくことを目指している。


A&AとE2Eというコンセプトを実際のサービスに落とし込むことを可能としているのが、OS技術を核とする「ソフトウェア、ハードウェア、信号制御(シリコン・半導体)」という3つの基盤技術である。
独自技術によるオリジナリティがあるからこその高い柔軟性と拡張性により、顧客が求める多種多様なマネジメントサービスを提供している。


既存事業の主な対象であるサーバ・クラウドシステムは、インターネットデータの格納先であり、データトラフィックが急増するなかで質・量ともに成長過程にある。
一方、新規事業「IoT向け各種サービス」の核となる「NEQTO」の主要対象(IoTデバイス)はインターネットデータの発生源と言え、その「マシンが生み出すデータ」は最終的にサーバ・クラウドシステムという格納先に流れ込むことになる。
つまり、同社が取り組むIoT領域での本格展開は、将来的に市場拡大が見込まれる分野への参入にとどまらず、既存ビジネス領域のさらなる拡大にもつながる事業戦略と言える。
同社は、インターネットデータの発生源と格納先を事業対象とする進化形ビジネスモデルを構築し、既存事業と新規事業の双方に継続的な先行投資を行うことで、指数関数的な爆発的成長を目指している。


3. パートナー戦略
同社は、独自技術をコアコンピタンスとしながらも、事業拡大やイノベーションを加速するために、M&Aを含むパートナー戦略を推進している。


2015年以降、同社グループのホームページに開示されているものだけでも、Kudan (TYO:4425)、モビコム(株)、ラピスセミコンダクタ(株)(ローム (TYO:6963)グループ)、Sony Semiconductor Israel(旧 Altair Semiconductor)、冨田浩史(とみたひろし)岩手大学教授、Litmus Automation、ZecOps、Amazon Web Services(AWS)、酒井重工業 (TYO:6358)、Google Cloud Platform、salesforce.com (NYSE:CRM)、Oracle Cloud、Tridium(米Honeywell International (NASDAQ:HON)グループ)、SAP (NYSE:SAP)、ソニーセミコンダクタソリューションズ(株)、Snowflake (NYSE:SNOW)、都築電気 (TYO:8157)、日本コムシス(株)(コムシスホールディングス (TYO:1721)グループ)など、有力企業を含むパートナーとの連携が見て取れる。
また、セールス・マーケティング分野においても多くのパートナーと連携しており、連結売上のうち、パートナー経由の比率は、50%程度にまで達している感触である。
そして見逃せないのが、上場を目指しているベンチャー系パートナー企業への資本参加→保有株式の価値増大→株式売却によるキャッシュ創出→積極的な成長投資→新たなパートナー企業との出会い、という好循環を生み出してきた点である。


4. 2021年12月期業績概要と2022年12月期業績見通し
2021年12月期連結業績は、売上高が前期比25.5%増の2,751百万円、営業利益が同55.7%増の488百万円となった。
解約率の低い月額課金案件と堅調な受注積み上げにより、上場以来28四半期連続で過去最高売上を更新したことに加え、営業利益は5四半期連続で前年同期比2ケタ増益となった。
また、営業利益率は17.8%、ROE(自己資本当期純利益率)は19.0%、ROA(総資産経常利益率)は20.3%、自己資本比率は74.1%、流動比率は319.5%といずれも高い水準にあり、積極的な先行投資をこなしながら高い収益性と強固な財務体質を両立させている。


2022年12月期については、国内だけにとどまらないグローバルなIoT事業の大きな成長や自動運転の商用化、そのための事業投資に関する不確定な要素が多く、適正かつ合理的な業績予想の策定が困難であるため、業績予想を開示していないが、ストック型ビジネスの堅調な推移により、現時点において過去最高売上高の更新が見込まれる状況としている。


■Key Points
・コアコンピタンスである「基盤コア技術」を応用し、中長期的な視点でビジネスをデザインできる経営力が強み
・インターネットデータの発生源と格納先を事業対象とした進化形ビジネスモデルを構築、既存事業と新規事業の高成長による爆発的な成長を目指す
・2021年12月期業績は前期比25.5%増収・同55.7%営業増益を達成。
積極的な先行投資をこなしながら高い収益性と強固な財務体質を両立

(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)


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