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アライドアーキ Research Memo(6):ユーザー数、売上高ともに順調に拡大を続ける

発行済 2018-05-25 15:48
更新済 2018-05-25 16:01
アライドアーキ Research Memo(6):ユーザー数、売上高ともに順調に拡大を続ける
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■アライドアーキテクツ (T:6081)の過去の業績推移

これまでを振り返ると、2016年12月期までは会員ユーザー数、売上高ともに順調に拡大を続けてきた。
特に、2012年12月期からの業績の伸びが大きいのは、2011年5月にFacebookとの連携を開始したことが引き金となった。
顧客単価は上昇基調で推移しているようだ。
SNS領域に特化してプロダクトを開発し、ソリューションも増やせたことで、クロスセルができるようなったことが単価上昇の要因として考えられる。
また、2016年12月期は海外子会社の業績拡大(特に、SNS広告関連サービス)等により大幅な増収となった。
ただ、前期(2017年12月期)からは、利益率が低く、業績の変動要因となりやすい海外SNS広告関連サービスについては縮小する方向である。


一方、営業利益率は2013年12月期にピークとなる19.0%を付けたが、2014年12月期は新規事業の立ち上げにかかる先行費用(開発人員の拡充)などにより低下すると、2015年12月期は海外事業等への先行費用に加えて、Facebookのポリシー変更に伴う影響により利益率の高いSNSマーケティング支援が落ち込んだことから営業損失に陥った。
2016年12月期は大幅な増収及び損益改善により黒字転換を実現したが、海外子会社での広告売上の伸びが想定以上に大きかったことにより、営業利益率はピーク時と比べて依然低い水準にとどまった。
前期(2017年12月期)は、前述のとおり、収益構造の変革(海外SNS広告関連サービスの縮小や国内SNSマーケティング事業の大型化等)に取り組んだことや積極的な先行費用の投入により業績は一旦落ち込む結果となっている。


財務面では、2013年11月の東証マザーズ上場により自己資本比率は80%程度まで上昇し、将来の成長に向けた財務基盤の強化を図った。
そもそも資産を必要としない事業モデルではあるが、2016年12月期末の自己資本比率が低下しているのは、長期借入金により積極的な事業投資や今後の事業展開に向けた手元流動性を確保していることが要因である。
前期(2017年12月期)は、前述のとおり、自己資本は新株予約権の発行及びその権利行使により前期末比33.0%増の1,792百万円に増加したことから、自己資本比率は54.3%(前期末は40.7%)に改善している。


■業績見通し

2018年12月期の業績予想についてアライドアーキテクツ (T:6081)は、売上高を前期比26.0%減の4,150百万円、営業利益を328百万円、経常利益を308百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を238百万円と減収ながら大幅な損益改善により、過去最高益の更新を見込んでいる。


前期に引き続き、大幅な減収を見込んでいるのは、海外SNS広告売上の縮小によるものである。
一方、国内SNSマーケティング事業や「ReFUEL4®」については大きく伸ばす計画である。


損益面では、販管費が前期と同水準で推移(先行費用を継続)するものの、利益率の高いSNSマーケティング事業や「ReFUEL4®」の伸長により大幅な損益改善(黒字化)を図る想定となっている。


弊社でも、外部要因(市場の拡大)及び内部要因(独自の付加価値の提供やSaaS型のサービス確立等)から判断して、セールスミックスの変化により利益成長を実現することは十分に可能であるとみている。
特に、営業利益予想328百万円(営業利益率は6.5%)の水準は、同社本来の収益性(同社単体における過去の利益率など)を勘案すれば、先行費用の高止まりが続いたとしても高いハードルとは言えない。
また、足元で安定的に伸びてきた「ReFUEL4®」についても、先行費用を除いたベースでは黒字化の目処がたっており、限界利益率の高い収益モデル※であるがゆえに、売上高の拡大に伴って収益性が大きく改善する可能性も期待できる。
もっとも、今期は、前期に引き続き、収益構造の変革や事業モデルの本格稼働に向けた過渡期にあたるため、業績面ではやや踊り場(緩やかな回復)と位置付けられる。
したがって、来期以降の成長加速に向けた活動の成果にも注目したい。
進捗次第では、業績の上振れ要因になる可能性もある。


※SaaS型のプラットフォームビジネスであるため、売上高の拡大に伴う追加的な費用の増加(変動費)が少なく、売上高が損益分岐点を超えると収益性が著しく高くなる収益構造となっている。


■成長戦略

アライドアーキテクツ (T:6081)は、具体的な中期経営計画を公表していない。
しかしながら、主力の「国内SNSマーケティング事業」の拡大のほか、海外子会社による「ReFUEL4®」や新たに開始した「越境プロモーション事業」によるグローバル展開により成長を加速する戦略を掲げている。


弊社では、国内SNSマーケティング事業は、大手企業による本格的なマーケティング活動を含めて、まだこれからの市場であることに加えて、市場が拡大するなかで優位性を発揮できる同社にとっては大きな成長余地があるものとみている。
また、革新的な事業モデルで世界シェアNo.1を目指す「ReFUEL4®」についても、今回のリニューアル等により成長に拍車がかかる可能性が高い(特に、顧客内シェアや顧客企業数の拡大の動きに注目)。
一方、「越境プロモーション事業」については、本格的な業績貢献には時間を要するものの、ポテンシャルや具現性を高く評価している。
日本商品を買いたい中国の消費者と、中国市場に参入したい日本企業の双方からの需要が大きい上、中国最大規模のSNS「Weibo」グループとの提携は同社にとって大きなアドバンテージになるだろう。
新たな2つの事業について、今後の動向に注目していきたい。



■株主還元
成長フェーズにあることから、しばらくは無配が継続する見通し
同社は配当方針として、「業績の推移を見据え、将来の事業の発展と経営基盤の強化のための内部留保に意を用いつつ、経営成績や配当性向等を総合的に勘案し、安定的かつ継続的な配当を維持する」ことを掲げているが、現在は成長過程にあり、内部留保の充実を優先させていることから、創業以来無配を継続している。


弊社でも、既存事業には大きな投資は想定されていないものの、越境プロモーションや「ReFUEL4®」を軸とした海外事業を含め、将来の成長に向けた事業機会は豊富に存在することから、ここで一気にプレゼンスを高めるためにも投資を優先することが株主利益の最大化につながるものとみている。
したがって、しばらくは配当という形での株主還元は見送られる可能性が高い。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

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