[ワシントン 25日 ロイター] - SNS(交流サイト)上で拡散する誤情報の問題などを巡る米議会の公聴会が25日に開かれ、フェイスブック、グーグル、ツイッターのIT(情報技術)大手3社の最高経営責任者(CEO)が出席した。
下院エネルギー・商業委員会の2つの小委員会が開いた合同公聴会で議員らは、1月6日に起きたトランプ前大統領の支持者による議事堂占拠事件を巡り、SNSに責任の一端があるか回答を迫った。SNS企業に対しては、暴力をあおる投稿や誤情報の拡散が同事件の一因になったとの批判が上がっている。
この問いに「イエス」と答えたのは、ツイッターのジャック・ドーシーCEOだけだった。ただ、同氏は「より広範なエコシステム(生態系)」を考慮する必要があるとも述べた。
グーグルの親会社アルファベットのスンダー・ピチャイCEOは、同社として常に責任感を感じているが、これは複雑な問題だと述べた。
フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは「効果的なシステム」を構築することが同社の責任だとした上で、事件の責任を問われるべきは、暴徒とトランプ前大統領だとの考えを示した。
議員らは、誤情報や危険なコンテンツに対する3社のアプローチを多岐にわたり厳しく批判した。
民主党のマイク・ドイル下院議員は「(議事堂)襲撃やその動機となった運動はあなた方のプラットフォーム上で始まり、助長された」と述べた。
新型コロナウイルスやワクチンを巡る誤情報についても質問が出た。また、フェイスブックが計画する子ども向けインスタグラムなど、SNSが子どもに及ぼす影響について懸念の声が上がった。
エネルギー・商業委のフランク・パローン委員長(民主党)は「あなた方のビジネスモデル自体が問題化している。自主規制のときは終わった。あなた方の責任を問う法整備を行うべきときだ」と述べた。
<通信品位法230条>
議会では、ユーザーの投稿に関するSNS企業の免責を認めている通信品位法230条の改正や撤廃を求める声が上がっている。
フェイスブックは24日に公表した文書で、SNS企業が有害なコンテンツの削除に最大限の努力を行うことを条件に免責を認める見直し案を提示した。
ピチャイ氏とドーシー氏は公聴会で、フェイスブックが提案する見直しの一部に前向きな立場を示した。ピチャイ氏は「良い提案」がいくつか含まれていると指摘。ドーシー氏もザッカーバーグ氏の提案の一部に支持を表明したが、事業規模によって対応を分ける案などは、実施が困難だと指摘した。
このほか共和党議員からは、SNS企業が保守派の意見を抑え込んでいるとの批判も出た。
ツイッターは1月の議事堂占拠事件を受けて、トランプ前大統領のアカウントを停止。フェイスブックは同氏のアカウントを永久停止とするかどうかの判断を独立した外部組織の「監督委員会」に委ねている。