[ワシントン 9日 ロイター] - バイデン米政権は、2月にウクライナ侵攻を開始したロシアからサイバー攻撃を仕掛けられる懸念が強まったことを受け、国家安全保障の観点からロシアの情報セキュリティ―大手「カスペルスキー研究所」に対する調査を強化した。事情に詳しい関係者3人が明らかにした。
ロシア政府がカスペルスキーのウイルス対策ソフトウエアを介して米国内のコンピューターから機密情報を盗み出したり改ざんするリスクが問題視されており、連邦政府の契約業者や、送電網など重要インフラの運営会社のネットワーク侵入を強く警戒しているという。
米規制当局は既に、連邦政府によるカスペルスキー製ソフトの使用を禁止している。
トランプ前政権は商務省に対し、米企業がロシアや中国など「外国の敵対者」のインターネット、通信、テクノロジー企業と取引することを禁止あるいは制限する権限を新たに付与しており、今回の調査もその権限に基づいて行われている。
商務省はこの権限によってカスペルスキー製品の利用や、米国民による同社製ソフトの購入、アップデート版のダウンロードを禁じることが可能。
ただ、新たな権限が行使された実例はほとんどない。トランプ前大統領は中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」や対話アプリ「WeChat(ウィーチャット)」の米国人による利用を禁じようとしたが、連邦裁判所に差し止めを命じられた。