[ストックホルム 30日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会の人工知能(AI)に対する包括的な規制案は、AI分野における欧州の競争力や技術面での主権を損なう恐れがある──。ルノーやメタ・プラットフォームズなどさまざまな企業の幹部160人以上が署名した公開書簡で、このような警告が発せられた。
欧州議会は今月、この規制案を賛成多数で採択。企業に対して画像や文章などのコンテンツに関して「チャットGPT」など生成AIなどが生み出したものだと明示するよう義務付ける内容だ。
チャットGPTが急速に普及する中で、これまではAIがもたらすリスクを重視し、積極的に規制を求める声が広がっていた。チャットGPTを開発したオープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)や、AIの深層学習分野で「大御所」とみなされる3人の専門家のうちジェフリー・ヒントン氏とヨシュア・ベンジオ氏の2人もそうした意見を表明している。
しかし今回、EUの規制案に異議を唱えた書簡には、もう1人の大御所のヤン・ルカン氏も署名。この書簡は、生成AIのような技術が厳しく規制され、関連するシステムを開発する企業は多大な法令順守コストや責任負担に絡むリスクに直面すると指摘し、この分野で高度な技術を持つ企業は欧州から域外に移転し、投資家も欧州におけるAI開発資金を引き揚げてしまいかねないと訴えた。