[ワシントン 20日 ロイター] - カナダ政府のサイバーセキュリティーセンター(CCCS)のトップを務めるサミ・コーリー氏は今週、ロイターのインタビューに応じて、悪意のあるソフトウエア開発やフィッシングメール作成、偽情報拡散といった不正行為で人工知能(AI)の活用が広がっていると警鐘を鳴らした。
コーリー氏は、懸念されるのはAIモデルの進化が非常に速いので、野放しにされて不正が行われる前に対処するのが難しい点にあると説明。次にどんな事態がやってくるのかは誰にも分からないと述べた。
AIや特に大規模言語モデル(LLM)が悪用されるリスクへの警戒感は急速に高まっている。3月には欧州連合(EU)の欧州刑事警察機構(ユーロポール)がリポートで、オープンAIの「チャットGPT」などのモデルを使えば、ごく基本的な英語能力しかなくても、いかにも本当であるかのように誰か別の人物や組織になりすますことが可能だと指摘。英国家サイバーセキュリティーセンターも、犯罪者が現在の能力以上のサイバー攻撃を行う上でLLMを使う恐れがあるとの見方を示している。